『Wedge』2022年10月号に掲載されているWEDGE OPINION「歴史的円安を日本の好機とし「真のグローバル化」を果たせ」では、そこに欠かせない視点を提言しております。記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。

円相場の下落が止まらず、9月1日にはついに24年ぶりの円安となる1ドル140円台となってしまった。しかも、この円安は、主要通貨全体に対する円の実質的な価値を示す実質実効為替レートでは1972年以来50年ぶりの歴史的な水準となっている(国際決済銀行〈BIS〉)。
円安の背景には、ドル金利上昇で円に対するドルの魅力が増していることなどがある。しかし、足元の歴史的な円安を、コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争などによるインフレがもたらした一時的なものと認識していては本質を見誤る。
実際、世界の中での日本の経済力は40~50年前の水準に下落し、50年ぶりの円安もこの状況と呼応しているように見える。例えば、世界の国内総生産(GDP)に占める日本の割合は、95年の17.9%から2021年には5.1%に縮小するが、この割合は50年以上前の1967年(5.4%)を下回る。また、1人当たりGDPは世界25位(2021年)だが、この順位は40年以上前の1980年(28位)、81年(24位)辺りの数字と類似する(世界銀行)。
このようになってしまった主因は、もちろん日本経済の成長力のなさにある。そして、その背景には主要他国に見られない極端な空洞化の問題がある。この20年余り、日本企業は安い生産コストや市場を求めて海外生産比率を高めたが、一方で市場が飽和している国内での設備投資を抑制してきた。そこに、対GDP比で世界最低水準しかない対内直接投資(201カ国・地域中198位。20年、国連貿易開発会議)が加わり、投資が海外流出するばかりの「偏ったグローバル化」になっている。このような状況を何十年も続けては、良好な成長は維持できない。
国内投資の長期間にわたる抑制は、経済力を停滞させただけではない。今回のコロナ禍で明らかになったように、……
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かつては日本企業から世界初の新しいサービスや商品が次々と生み出されたが、今や見る影もない。その背景には、「選択と集中」という合理化策のもと、強みであった多くの事業や技術を「諦め」てきたとの事実が挙げられる。バブル崩壊以降の30年、国内には根拠なき悲観論が蔓延し、多くの日本人が自信を喪失している。だが、諦めるのはまだ早い。いま一度、自らの強みを再確認して、チャレンジすべきだ。