2024年6月15日(土)

都市vs地方 

2022年10月7日

 07年3月に18歳であった人が20年にはおおむね30代前半になっているため、このグラフは、ある時に大学に進学した人たちが、その後どのように散らばっていったか、もしくは集中していったかを描いている。

(出所)文部科学省「学校基本調査」および総務省「国勢調査」 写真を拡大

 図2のオレンジの線は、45度線で、この線上に点があるということは、大学進学率と大卒者割合が同じであるということになる。その都道府県では進学時に比べて大卒者が(他の学歴の人に比べて相対的に)減りも増えもしなかったことを意味する。

 もちろん、大学進学者数と大学卒業者数は一致しない。進学しても卒業できない人もいるし、高校から直接大学に進学せず、短大や高専から編入したり社会人を経験して大学に進学する人もいる。前者が多ければ進学者数が卒業者数より大きく、後者が多ければ進学者数より卒業者数が大きくなる。

 この世代については、後者が多いようで、日本全体では高校卒業者の大学進学率は42%程度であるのに対して、最終学歴が高卒以上の人のうち、大卒以上の人の割合は46%である。それにも関わらず、45度線の下にある点で示されているように、大学進学率よりも大卒以上比率の方が低い都道府県もある。

 一方で、45度線の上にある点をみると、大学進学率が高かった都道府県で大卒以上比率がさらに高くなっていることがわかる。実際、この07年3月卒業の世代では、大学進学率の最も高い東京都と最も低い鹿児島県との差が26ポイントであるのに対して、大卒以上比率の最も高い東京都と最も低い岩手県との差は40ポイントと、地域差が拡大している。大学進学において観察された地域差が、大学卒業後にはさらに拡大しているのである。

 これは、大学進学時よりも大卒後の方が活動する地域を大都市に変えているということだ。近年の経済成長において、機械や工場といった物的資本に加え、知識やスキルといった人的資本が極めて重要な役割を果たしてきた。高等教育はこうした人的資本蓄積の一端を担っており、大卒人材の偏在は、人的資本蓄積における地域差を生むと考えられる。

 だとすると、都市と地方とで経済成長の源泉に差があることになり、今後の地域経済の見通しにおいても明暗が分かれかねない。

所得差と大学進学の関係性

 では、こうした大学進学率の地域差や大卒人材の偏在は、どういった原因で生じるのであろうか。大学進学時に重要となる要因の代表的なものは、大学進学に伴う費用負担や高校生の大学進学意欲であろう。

 大学進学には学費に加え、親元を離れての進学ならば仕送りも必要になる。こうした費用を賄える家計であるかは大学進学を決める大きな要因となる。


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