10月11日から12月下旬までで、観光庁の「全国旅行支援」が始まった。全国旅行支援は割引率40%、割引上限額は交通付旅行商品(鉄道、バスなどのサービスが付いているもの)は一泊当たり8000円、付いていない場合は5000円である。さらに、平日3000円、休日1000円のクーポン券が付く。
仕組みとしては、ホテルなどの観光事業者が都道府県に申請・登録を行い、事業者は割り引いた額の価格で販売し、割引分を、都道府県を通じて国から受け取るというものだ。クーポン券は、旅行会社やホテルが利用者に直接渡すという。
ところが、「支援」の分だけ便乗値上げが横行しているのではないかという声がSNSで盛り上がっている。「全国旅行支援前に予約したホテルが1.8万円だったのに、全国旅行支援が復活したから取り直そうとしたら、同じホテル同じ部屋が今だと3.2万円になっている。全国旅行支援使った方が高いってどういうこと?」というような声が溢れている。実は、筆者も同じようなことを経験した。
観光庁も気にしていて、斉藤鉄夫国土交通大臣が、便乗値上げを慎むようにと発言し、全国旅行支援で便乗値上げが確認された場合、観光庁は「事業者の登録取り消しなどの措置も含め」対処するよう自治体に通知したとのことである(全国旅行支援の“便乗値上げ”観光庁通知「(旅行支援の)事業者登録取り消しも」テレビ朝日2022/10/21)。
需要と供給の法則から言えば当たり前
なぜこんなことが起きているのだろうか。もちろん、悪徳なやり方で値上げをすることは消費者の利益を損なうことはやってはいけない。ただ、需要と供給の法則から言えば、実は当たり前のことが起きている。