2022年12月9日(金)

ニュースから学ぶ「交渉力」

2022年11月21日

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田村次朗 (たむら・じろう)

慶應義塾大学法学部 教授、弁護士、米ハーバード大学国際交渉学プログラム・インターナショナル・アカデミック・アドバイザー

慶應義塾大学法学部卒、米ハーバード・ロー・スクール、慶應義塾大学大学院。ブルッキングス研究所、米上院議員事務所客員研究員、米ジョージタウン大学ロースクール兼任教授を経て現職。著書に『ハーバード×慶應流 交渉学入門』(中央公論新社)、『リーダーシップを鍛える「対話学」のすゝめ』(共著、東京書籍)、『16歳からの交渉力』(実務教育出版)など多数。

 新型コロナウイルス・パンデミックは、社会における従来の「当然」や「常識」を大きく変えるきっかけを提供した。その一つが、働き方である。

(metamorworks/gettyimages)

 今ではすっかり定着した「在宅ワーク」という言葉も、以前は耳にする機会はほとんどなかった。多くの人が毎日定時に出勤していた状況から、最近では、必要に応じて出社し、それ以外は在宅勤務というような、柔軟な働き方も認められるようになってきている。

 こうしたフレキシブルな働き方が良い影響をもたらす一方で、上司や部下、同僚とのコミュニケーション不足、あるいは社外との関係構築の難しさに悩む人も多く、筆者のもとにもそうした声が寄せられてくる。

 今回は、このような対面以外のコミュニケーションをどのように進めていくべきか、について焦点を合わせて解説する。

対面とオンラインが異なる3点

 まず、対面とオンライン会議の違いは何だろうか。筆者は大きく3つの相違点を挙げたい。

 第一に、「余白がない」ということである。対面でミーティングを行う場合、おそらく大半は10分前くらいには集まり、ミーティングが始まるまで、そこにいる人たちと他愛もない話をしたり簡単な打ち合わせをしたりと、さまざまなコミュニケーションが生まれることは容易に想像がつく。これは会議後も同じで、場合によってはそのあと食事をともにし、親睦が深まることもある。

 しかし、オンラインではそうした発展性はほとんど望めない。開始3分前にPCを立ち上げて、会議ツールを起動させれば十分である。また、会議後も「ありがとうございました」の言葉とともに、画面は断ち切られる。そこには、プラスアルファのコミュニケーションが生まれる余地はない。

 第二に、相手の表情が読みにくい、ということである。オンラインツールもどんどん進化し、画像は良くなり、臨場感を高めるためのさまざまな仕掛けを取り入れたものなどが登場しているが、それでも対面にはかなわない。特にハイコンテクストな日本社会では、「顔色を窺って」「空気を読む」ことは円滑なコミュニケーションのために重要な要素だ。

 しかし、オンライン上では表情は見えづらく、対面ならではの空気感も感じとることができない。そこには、良くも悪くも無味乾燥な状況が生まれてしまう。

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