2024年4月19日(金)

Wedge OPINION

2022年11月25日

 足元で150円台にまで達した円の急落には、もちろん米国FRBが市場の予想を大きく上回るスピードで利上げを行った影響が大きいが、同時にYCCの仕組みが円安・ドル高を増幅したと考えられる。円とドル以外の通貨との為替レートをも考慮し、さらに各国間のインフレ率の格差を調整した実質実効為替レートの動き(下図)を見ると、現在は1973年に変動相場制に移行した時期以来の約50年ぶりの異常な円安水準にあることが分かる。

1973年に変動相場制に移行して以来、
約50年ぶりの円安水準にある日本

(注)実質実効為替レート指数の推移(2010年=100とする)
(出所)日本銀行HP「時系列統計データ検索サイト」 写真を拡大

 いずれにしても、為替レートの過度の変動を抑制したいなら、YCCの運用弾力化を進めるべきだ。実際、日銀は過去にも2度にわたってYCCの変動幅を0.1%から0.25%に拡大しており、これを金融引き締めではなく運用弾力化と位置付けてきた経緯がある。今回も、この許容幅を0.25%から若干拡大する、ないしターゲットとする金利を10年から5年に短期化することで、市場機能を活用することが望ましいと考える。アベノミクスやQQEのような実験的な政策は、往々にして、その後の環境の変化に応じて柔軟に変更していくことが重要である。

 
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平成日本の停滞感 サッカーなら打開できる
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平成の時代から続く慢性的な不況に追い打ちをかけたコロナ禍……。国民全体が「我慢」を強いられ、やり場のない「不安」を抱えてきた。そうした日々から解放され、感動をもたらす不思議な力が、スポーツにはある。中でもサッカー界にとって今年は節目の年だ。30年の歴史を紡いだJリーグ、日本中を熱気に包んだ20年前のW杯日韓大会、そしていよいよ、カタールで国の威信をかけた戦いが始まる。ボール一つで、世界のどこでも、誰とでも─。サッカーを通じて、日本に漂う閉塞感を打開するヒントを探る。


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