「ふつうの人」の意見の重要性が自分ごと化会議で明白に
富岡市や大刀洗町の取り組みは、地方議会や地方自治にどのような変化をもたらすのだろうか。『くじ引き民主主義』(光文社新書)の著書がある同志社大学政策学部の吉田徹教授は「こうした〝くじ引き〟による取り組みを、現在の代議制民主主義と組み合わせて住民の政治参加を促せば、双方が相互に補完し合う関係になる可能性は高まるはずです。それは民主主義の機能やメリットを最大限生かすことにつながります。現に、フランスやアイルランドなどでは国政の場でそうした形式が用いられてきました」と解説する。
前出の構想日本・田中さんは語る。
「普段、行政職員の方々が窓口で接している住民の声は、行政に対する反対意見や否定的なものが圧倒的に多いと聞きます。たしかに、無作為抽出なので自分ごと化会議にもそうした人は来る。でも、会議を通じて多様な意見に触れたり、視野を広げたりすることでそうした先鋭的な意見は自然と中和されていくのです。つまり、いわゆる『クレーマー』の意見は、多くの『ふつうの人』の前ではマジョリティーにはならないということです。今では自分ごと化会議に足を運んでくれる議員も増えてきました。こうした草の根の活動を根気強く続けていけば、地方議会はきっと変えられます」
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あなたはご存じだろうか。自分の住む地方議会の議員の顔を、名前を、どんな仕事をしているのかを─。住民の関心は高まらず、投票率の低下や議員のなり手不足は年々深刻化している。地方議会とは一体、誰のために、何のためにあるのか。4月に統一地方選挙を控える今だからこそ、その意義を再考したい。
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