2024年12月3日(火)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年3月20日

 中国からのインバウンドがいよいよ本格化しそうだ。日本政府は3月1日、中国からの入国者に対する水際対策を緩和した。日本から中国に戻る際のPCR検査や隔離措置がなくなったこと、中国で個人旅行のビザ発給が再開されていること、3月下旬から、中国からの航空便の増便が決定したことなどの要素が重なり、追い風となっている。果たして、中国人観光客の〝爆買い〟は復活するのか。

中国人観光客が日本に求めるものは変わりつつある(ロイター/アフロ)

「日本に行きたい」中国人観光客像は

 東京で桜の開花が過去最速で宣言された日、上海に住む筆者の友人はSNSにこう書き込んでいた。

 「今年の桜には間に合わないが、夏には必ず日本に旅行に行くぞ!」

 この友人はこれまで20回ほど日本旅行をした経験がある「旅の達人」だ。お花見のシーズンにも何度も来日したことがあり、近年、関東で有名になった埼玉県幸手市の桜並木の写真をSNSに投稿するなど、〝日本通〟ぶりはハンパない。

 そんな友人もコロナ禍の影響で3年以上、来日は叶わなかった。そのため、日本旅行に対する期待は大いに膨らんでいる。

 この友人と同じような人はほかにも大勢いる。先日、北京在住の日本人の友人が帰省した際、「中国人の日本旅行に対する熱量はかつてないほど高い」と話していたが、航空便が増便され、航空券代も下がってくれば「明日にでも日本に行きたい」とソワソワしている人が多いのだ。

 前述の上海の友人は、「春節後の今は連休も少ないので難しいですが、5月のゴールデンウイーク(GW)頃にはかなり多くの人が日本旅行を計画しているのではないでしょうか。私は夏に2週間以上の休暇が取れるので、それまで待つつもりですが、周囲の知り合いはそろそろ日本に行き始めていますよ」

 むろん、その友人がいう「知り合いの日本旅行」とは「個人旅行」を指す。

 在中国日本国大使館のサイトによると、中国から観光目的で来日できるビザは大きく分けて「団体」と「個人」があり、団体観光ビザはまだ再開されていない。現在、認められているのは個人観光ビザで、中でも、「十分な経済力を有する者に対する数次ビザ(3年マルチビザ)」と、「相当な高所得者に対する数次ビザ(5年マルチビザ)」のいずれかを利用して来日している。

 つまり、やや富裕層、あるいは富裕層の来日が期待できるのだ。


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