2024年12月14日(土)

食の「危険」情報の真実

2023年3月24日

 今年4月1日から遺伝子組み換え(GM)食品の表示制度のうち、任意表示のあり方が変わる。これまでは組み換え原料が最大5%まで含まれていても、「遺伝子組み換えではない」との任意表示を認めていたが、「組み換えではない」との表示は「不検出」に限ることとなった。これで表示の正確性は確保されるが、新たに登場した表示の言葉にも課題がありそうだ。

「組み換えではない」との表示が激変

 いま、スーパーで販売されている豆腐や納豆などの遺伝子組み換え表示はどうなっているのだろうか。筆者が住む東京郊外のベッドタウンの千葉県印西市(人口約11万人)にある流通大手のイオン千葉ニュータウン店の納豆・豆腐売場を観察した。

(筆者撮影、以下同)

 以前は、写真1のような「遺伝子組み換えではありません」と表示された豆腐や納豆がすぐに目についたが、今回はどの製品を見ても「組み換えではない」との表示が見つからない。 

 3銘柄の納豆の原材料欄を見ると、「分別生産流通管理済み」(写真2)か「遺伝子組換え混入防止管理済」との表示だった。日本では遺伝子組み換え大豆は栽培されていないため、国産大豆を使った納豆なら、「組み換えではない」との表示があってもよさそうだが、たとえば、ミツカンの納豆は「国産大豆を使用」と表記しながら、「分別生産流通管理済み」との表示だ。

 イオンが販売するプライベートブランド(PB)納豆を見ると、「原産地はアメリカ又はカナダ」との表示しかない。どの食品メーカーも米国やカナダから非組み換えの大豆を輸入しているため、以前なら「組み換えではない」との表示が見られたが、無表示となったケースだ。また、国産大豆を使用したイオンのPB納豆もあったが、欄外を見ると、「組み換えではない」という表示ではなく、「大豆:遺伝子組換えのものと分けて管理しています」との表示だった。

 この1カ所の観察だけで全体の傾向を推し量ることは難しいが、全国流通している大手食品メーカーの納豆や豆腐を扱うイオンの状況は全国の傾向の代表的なサンプルとみてよいだろう。筆者の長年の取材経験から言って、組み換え食品の表示対象となる納豆や豆腐などでは「組み換えではない」との表示が激減し、代わって「分別生産流通管理済み」や「遺伝子組換え混入防止管理済」が登場してきたと言えるだろう。


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