保健体育科では「生涯を通じる健康」の中の「生涯の各段階における健康」で、思春期と健康、結婚生活と健康、加齢と健康の項目が置かれて、性的成熟、妊娠・出産、家族計画・人工妊娠中絶、母子の健康、加齢に伴う健康問題などが扱われることになっている。しかし「妊娠のしやすさを含む男女それぞれの生殖に関わる機能については、必要に応じ関連づけて扱う程度とする」としていて、その扱いは軽いように思える。
10代から人生の逆算を
学校や地域でも、自分が想定した未来の姿から逆算して人生設計をさせる「逆算のライフデザイン教育」に取り組んでいる例がある。バックワード・デザイン教育である。
野球の世界大会「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で活躍した大谷翔平選手が高校生の時に作った目標達成シート(マンダラチャート)が注目されている。これを自分の人生設計に応用してはどうだろうか。
それはあるべき姿として特定のライフコースを押し付けるものではない。性的少数者(LGBTQ)の存在も認めた上で、非婚か結婚か、DINKs、選択的シングルマザー、子供を持つなら何人か持ちたいのか。成り行きに任せるのではなく、10代後半の思春期から考える習慣を身についてもらいたいのだ。
寿命が伸びたからといって妊娠可能な期間が大幅に伸びたわけではない。30歳代後半から妊娠確率は低下し、流産の確率は高まる。不妊治療の効果も低下することがわかっている。このような知識を身につけた上で、未来の自分の姿を想像することが必要ではないだろうか。
それぞれが多様なライフコースを歩むことを理解、共感して、それぞれの支え合いによって連帯することが、将来への不安を消すだろう。その結果として少子化の脱出口が見出せるのではないだろうか。
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