5月23日付の英エコノミスト誌が「豪州は中国の貿易禁止に対決し、より強くなった。幸運な国は中国のいじめに耐える能力があるユニークな国かも知れない」との解説記事を掲載している。
2020年、中国が豪州に対し経済的威圧を始めた。中国は、材木から石炭、ロブスター、大麦とワインまで、豪州からの輸入に大幅な制限をかけた。しかし豪州は屈しなかった。
豪州の輸出は中国による制限で短期間苦しんだ後、その後は増えた。5月18日に両国の貿易大臣は会い、中国は豪州産材木の禁輸を解除した。1月以降、中国は豪州の石炭を静かに買い始めた。豪州は綿花と銅の対中輸出も再開した。大麦については、中国は関税を見直しており、豪州は世界貿易機関(WTO)への提訴を中断した。中国のいじめの後、豪州の逃げ切りは重要な勝利と理解されている。
幸運なことに、豪州の大麦に中国が80%の関税をかけた後、生産者は東南アジアに売るか、また別の作物に転換した。豪州炭は、中国に売れない分、インドと日本に売った。その間、世界価格の上昇は豪州の炭鉱を豊かにした。
危機を政治的に管理する豪州の努力は中国のやり過ぎで助けられた。中国は豪州を非難し、ほぼすべての公的接触は凍結された。2020年11月、中国大使館は豪州に対する14の不満リストを公表した。経済問題を超えて、豪州の議員が中国共産党を批判したこと、豪州の報道が「非友好的で敵対的な」ことを中国は嘆いた。
当時のモリソン首相はこれらの不満は「豪州が豪州であることに反対するものである」とした。豪州は中国の要求を拒否し、逆に、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」で米英との安全保障政策をしっかりさせ、太平洋での中国の影響力に対抗する外交も進めている。
豪州はWTOでも有益な先例を打ち立てた。中国に対する豪州の申し立てが最終段階になるや、中国は大麦関税を見直すことに同意した。豪州は中国が環太平洋経済連携協定(TPP)に参加したがっていることにも助けられた。豪州は中国が経済的ルールや既存の豪中自由貿易に反する限りTPPへの加入の話し合いはないと明らかにした。豪州は、3年に及ぶ中国のいじめを踏まえ、インドと英国と自由貿易協定を署名した。欧州連合(EU)とも交渉中である。