サイクリストには脅威の大型連結貨物トラック
古希の放浪ジジイは20インチのチビチャリにテント一式を積んで3カ月近くニュージーランド(NZ)南島を2100キロ周遊した。
NZは日本と同様車両左側通行。南島2100キロを自転車で走りながら常に緊張を強いられたのは右後方から疾走してくる大型貨物車両である。NZでは市街地や急峻な山岳部以外は大半が制限速度100。そして大型貨物車両は二両連結だ。しかも大動脈の国道1号線ですら市街地以外の区間はほとんど片側一車線。
従ってチャリで走行中ハンドルの右端に取り付けたバックミラーでちらちら目視確認するだけでなく絶えず後方から迫る大型車両の爆音に聞き耳を立てていなければならない。夜明け前や雨天の場合は尚更である。
輸送している積荷でもっとも多いのが原木(丸太)。トラックは長さ・高さなどの仕様が共通しているようで原木の長さは同一に揃えられている。
次が牛、羊、豚などの家畜(livestock)。 家畜輸送は専門の大手輸送会社が数社あるようでLivestock Expressというロゴの二両連結トラックを特に頻繁に見かけた。
そしてタンクローリーである。タンクローリーは生乳とガソリン等の工業化学製品が半々くらいという印象。
南島を縦断する経済の大動脈、国道1号線とキーウィ鉄道
NZは国土の大半が森林に覆われている。丘陵に広がる牧場や葡萄畑などは18~20世紀に大英帝国からの植民者により原生林を伐採して農地を拓いたものだ。農場や放牧地では古くて巨大な切り株が放置されているのを見かける。当時の植民者の労苦が偲ばれる。
南島の最南端の港町ブラフを起点として中心都市クライストチャーチを経て最北端の港町ピクトンまでの約1100キロを国道1号線が東海岸沿いに走っている。そしてNZ国有鉄道(Kiwi Rail)もブラフからピクトンまで国道1号線とほぼ並行している。この国道と鉄道はまさにNZ経済の大動脈である。
深夜も国道を疾走する木材運搬トラックの積み荷の最終仕向け地は?
NZ南島では伐採した丸太を満載した二両連結トラックが昼夜を分かたず幹線道路を疾走している。
2月9日。南島最大の都市クライストチャーチの外港のリトルトン。バラ積み貨物船が数隻沖待ちしていた。いずれも五星紅旗や漢字表記から中国船籍だ。コンテナヤードを過ぎると丸太が積まれた広大な木材専用埠頭。
3月6日。南島最南端の港町ブラフ。この町は17世紀以来捕鯨船の補給基地として繁栄していたが現在は人口1800人の寂れた田舎町。現在では日系資本も出資しているアルミニウム精錬工場向けにオーストラリアから輸入したボーキサイトを荷揚げする埠頭と丸太を出荷する専用ヤードだけが稼働している。国有鉄道の支線で丸太が運び込まれ埠頭に山積みされていた。
4月12日。南島最北端の港町ピクトン。木材出荷専用埠頭ではフォークリフトが走り回り中国船籍の貨物船に丸太を積み込んでいた。
世界最大の材木輸出国NZは80%を中国へ輸出している
林野庁の統計では2020年の世界全体の針葉樹原木(丸太)輸出量は9800万立方メートル。世界最大の輸出国NZは2005万立方メートルを出荷。
他方で最大の輸入国は世界全体の輸出量の半分近くにあたる4686万立方メートルを輸入する中国だ。
NZは2021年には輸出量の80%に相当する1623万立方メートルを中国に輸出した。