全国の動物愛護センターやボランティアたちは、懸命に殺処分を無くす努力をし、効果は確実に表れているものの、人知れず殺される生命もあることを、私たちは忘れてはならない。
金子氏は言う。
「昔は犬と言えば番犬でした。でも今は家族です。最近は愛護が普通になってきました。だからこのまま努力を途切れさせず、続けていくしかないと思います。そうすれば社会情勢は変わるし、法律が変わればまた変わる。意識を変えて行きつつ、私たちが目のまえの動物を救っている姿を見せることが大事かなと。一生懸命譲渡する姿を見せていきたいと思います」
金子氏は小さい頃から動物好きだったのはもちろん、動物が簡単に殺処分されない社会、生きていられる社会にするにはどうしたらいいかを考えていたという。そういう意味では、今の仕事は、夢が叶った状況だ。一方大塚氏は、生き物全般が好きで、今も家には動物が沢山いるという。
命を救うのに本当に必要なこと
おそらく、川崎市だけでなく、日本の動物愛護センターはどこも、金子氏や大塚氏のような動物好きの集まりに違いない。今の日本の動物愛護は、そんな動物好きたちの献身的な努力によって成り立っている。だが、そろそろ次の段階に進む時ではないだろうか。
法改正の効力は確かにあるが、それだけでは無責任な飼い主や、それに乗じて殺処分を重ねる業者の行いを無くすことは難しい。逆に、世間の見えないところで、抹殺される生命を増やしている可能性もありそうだ。
小さな生命を救うために、沢山の人たちが譲渡へ向けて懸命に努力をする姿、動物にも気持ちがあるんだよと訴え続けることは、回り道に見えても一番堅実なやり方なのかもしれない。