11月11日、中国最大の通販セール、「独身の日」(ダブルイレブン、双十一)が終わった。今年も前年同様、10月末から約2週間にわたって行われたが、中国の調査会社が同13日に発表したデータによると、今年のGMV(流通総額)は前年比2.0%増にとどまり、約1兆1386億元(約23兆6000億円)だったことがわかった。
22年は前年比14%増だったことから、伸び率が鈍化したことは明らかだ。背景には中国経済の悪化、消費の低迷、節約志向、若者の就職難などさまざまな要因があると言われているが、ほかにも、中国人の消費に対する意識の変化、イベントへの食傷感、インフルエンサーへの不信感などもあるのではないか、と筆者は考えている。
すでに「独身の日」は特別ではない
今年の「独身の日」は前年同様、電子商取引(EC)最大手のアリババが22年からGMVを公表しないこともあり、10月末のスタート時点から「華々しさ」に欠けた感があった。SNSなどでも取り上げられることが減り、静かなスタートだった。
通販を行っているのはアリババの「天猫(Tmall)」などを中心に、同じくEC大手の京東集団、拼多多(ピンドゥドゥ)、快手(kuaishou)など複数あり、年を追うごとに参加企業は増えている。今年、京東は売上高、アクセス数などで過去最高を記録し、快手はGMVが前年比を155%も増加するなどの健闘を見せたが、全体的にみると「低価格」を強調したものが多かった。
アリババはとくに欧米のブランド品を50%オフにするなどのタイムセールを実施して消費喚起につとめたが、ふたを開けてみれば、全体的に宝飾品、高級ブランド品、家電製品などの伸びは低調で、日用品、生活雑貨、食品、衣料品などはやや伸びたという傾向がみてとれる。
これは、消費者にとって、「独身の日」セールがもはや特別なものではなくなりつつあることを物語っているのではないか、と筆者は感じる。
「独身の日」は2009年にアリババが始めたセールで、当時は時計の針が11月11日になる直前、多くの人々がパソコンの前に陣取り、このときに大幅に値引きされる目玉商品をクリックすることを楽しみにしていた。事前にネット上の「買い物カゴ」に入れておき、深夜0時を回ったら瞬時に「購入ボタン」を押すのだ。