ニューヨークタイムズ紙国際特派員のDamien Caveが、12月12日付け同紙掲載の論説‘Three Months After Biden, Its Xi’s Turn to Court Vietnam’で、ベトナムの指導者たちは、これまでのところ競合する大国から来る課題とチャンスをよく理解し、ベトナムの戦略的地位を最大限に活用して、「バンブー外交」をうまくやっているが、それがどれほど持続可能であるかは別の問題である、と論じている。要旨は次の通り。
習近平は、隣国ベトナムとの関係強化を目指して、12月12日に同国に到着した。それは、バイデン大統領が同様の任務でハノイを訪問してからわずか3カ月後であった。
米国と中国の大国競争において、ベトナムは、ハイリスク、ハイリターンの立場にある。両大国を満足させることができれば革新的な経済促進の可能性があるが、どちらかを怒らせると、大きな代償を払わされる可能性がある。
アナリストらによると、習氏はベトナムの意図を試したい考えである。9月に米越両国が「包括的戦略的パートナーシップ」に合意したが、米国とともに中国に敵対することはないとの再確認を求めている。
中国政府は15年前にハノイと「包括的戦略的パートナーシップ」に達したが、習はベトナムに対し、更に中国が提唱している「運命共同体」に参加するよう圧力をかけている。
「運命共同体」のフレーズは、約10年前、地域支援を強化し、かつて中国の属国だった東南アジア諸国の不信感を抑える一環として導入されたが、ベトナムは中国の覇権を容認したと解釈されることを恐れて抵抗している。
国際危機グループのアジアプログラム副局長フオン・レ・トゥ氏は、「習の訪問は、ベトナムがまだ中国の軌道から抜け出せていないことを示すものだ」と指摘する。
ベトナムの指導者たちは、中国が強い友情の姿勢を示すことを求めていると理解している。習の訪越はこれが3回目となる。
米国は、大統領だけでなく関係当局者も精力的に動いている。米太平洋陸軍司令官チャールズ・A・フリン大将は、ベトナム共産党本部への訪問を含め、過去4カ月間に高官と3回会談した。
「バンブー外交」(しっかりした根と柔軟な枝)と称賛されるベトナムにとって、目標はバランスだ。中国指導者を歓迎することで、米国にはベトナムが米国の要請に屈していないことを思い出させる。同時に、中国に過度に傾くことは、国内からの反発を含め、大きなリスクをもたらす可能性がある。
「ベトナムの指導者たちはこれまでのところ、競合する大国から来る課題とチャンスを理解し、ベトナムの戦略的地位を最大限に活用してうまくやっている」とフオン氏は語った。「それがどれほど持続可能であるかは、また別の問題である」。
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