2024年11月22日(金)

21世紀の安全保障論

2024年1月11日

 この際、市町村を支援する立場の都道府県が、2隻程度の輸送用船舶を保有することも一案だ。仮に、海に面している39の都道府県が2隻ずつ保有すれば、全国で78隻となる。津波などで一部の輸送船舶が破壊されても、全国の都道府県が協力して輸送船舶を被災地に派遣すれば、相当数の船舶を海からの輸送に活用できる。

 都道府県が保有する船舶としては、小規模港湾や海浜で重機を揚陸できる能力を持つ船舶であり、海上輸送群が保有予定の機動舟艇が候補となるかもしれない。もちろん、船舶の購入、維持整備、訓練、運用などについては国や自衛隊による支援が不可欠だ。また、積載する重機、車両、支援物資、要員を迅速に準備する仕組みも必要となる。

ラストワンマイル問題解決の糸口に

 大規模災害では、支援物資が物資集積拠点から避難所に届かないというラストワンマイルの問題が常に突きつけられてきた。この問題を解決する一つの手段として、陸側と海側の複数の場所からアメーバ的に道路啓開を進めて避難所への交通を早期に確保するという新たな手法が考えられる。

 これを実現するためには、被災地の小規模港湾や海浜に重機、車両、支援物資などを輸送できる船舶が多数必要となる。令和6年度能登半島地震での教訓を踏まえた取り組みが急務だ。

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