2024年11月23日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年10月22日

全米のほとんどの州で
不動産投資額がベスト5に入る中国勢

 現在、全米50州のうちなんと44州で中国人の不動産投資額がベスト5に入っていて、うちニューヨークとハワイで第2位、カリフォルニアで第3位となっているが、なかでもカリフォルニアは人気が高く、過去1年間のうちに同地で売り出された不動産の約半分が中国人によって買われているといった集計結果もあるというのだ。

 げに恐ろしきはチャイナ・マネーといったところだが、注目すべき点は金額の大きさばかりではない。

 「やはり重要なのは異様な伸び幅だ」と語るのは、前出の国務院OBである。

 「今回、NARが明らかにしたのは年間123億ドルですが、これは昨年3月から1年間の数字です。では、その1年前の2011年3月から2012年3月までの1年間はどうだったかといえば、約74億ドルだったのです。つまり、たった1年の間に金額にして約50億ドル。増え幅にして倍増どころか、66%という凄まじい数字がはじき出されてくるから驚きです」

 では、こうした不動産投資熱が恐ろしい勢いで高まり続けていることの背景には、いったい何があるのだろうか?

 この現象を直ちに習近平体制下で起きた変化と結びつけられるわけではないが、統計が習体制後の2012年11月からの4カ月間を含んだものであることも事実である。

 そうした事情を考慮しつつ分析すれば、重要になるのは胡錦濤体制から習近平体制に引き継がれたところに原因がないかととらえるのが最も自然であろう。

 その1つが、地下マネーの影響である。地下経済に対する中央の攻撃によって、民間金融が一部崩壊しその資金が流れていっていることだ。

資金流出の背景にある中央の統制と
地方に対するコントロールの強化

 背景にあるのは中央による資源・エネルギー政策の統制と地方に対するコントロールの強化である。おもに鉱物資源などの非正規ルートによる流出は、価格をコントロールすることによって資源と産業を結びつけるという戦略的な政策を持っていた中央の足を大きく引っ張ることとなった。


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