2024年5月16日(木)

一人暮らし、フリーランス 認知症「2025問題」に向き合う

2024年2月2日

 そうこうするうちに開始時刻となり、いつのまにか現れていた指導員の方が、大きな声で「そろそろ始めていきましょう」と、明るく言った。この時点で、集まっていたのは20人弱程度。
参加者たちは、適度な間隔で並べられたパイプ椅子に座り、指導員のお話に笑顔で耳を傾けている。女性が8割ほどで、年齢層は60代~90前後くらいだろうか。若そうな方もいて、「ザ・高齢者向けイベント」という印象ではなかった。

世田谷いきいき体操とは?

健康体操の様子(写真は12月回のもの)

 指導員の方は、のちに知ったのだが、公益財団法人世田谷区保健センター(以下、保健センター/→注2)から派遣されてきた運動指導員の方で、準備運動をしたのちに、自宅でもできる簡単なケア方法を教えてくれたり、健康に関するうんちくを楽しく話してくれたりした。

健康体操の様子(写真は12月回のもの)

「ひざのお皿は、動かすといいんですよ」と言いながら実演してくれたときには、「ひざのお皿って動くんだ~」と参加者から驚きの声が出た。ちなみに、ひざのお皿を動かすと、ひざの痛みを防止したり軽減したりするそうです。

 その後、みんなで一緒に「世田谷いきいき体操」なるものを行った。世田谷いきいき体操とは、私は初耳だったのだが、2015年(平成27年)に世田谷区が介護予防を普及するために、前述の保健センターに依頼して考案・作成してもらったという世田谷区オリジナルの体操で、運動を活動に取り入れたい団体などには指導員を派遣しているという(注3)。世田谷区のHPによると、「重りを手首や足首につけて、腕や足の上げ下げを10回ずつ行うだけのとてもやさしい体操」で筋力アップを目指すものだとか。

「実家なんとかし隊」の柴﨑幸苗さん

 重りは、つけるとより筋力アップにつながるが、なければつけなくてもOK。最近は100均でもこういう重りが売られているらしく、運営を手伝っている柴﨑さんはいくつかを用意していて、「試したい人はどうぞ」と見せてくれていた。

 体操タイムでは、基本的には椅子に座りながら、体を伸ばしたり、筋トレ的な動きをしたり。
後半では、「365歩のマーチ」など誰でも知っている歌謡曲や童謡に合わせて運動を行ったので、疲れるという声は上がったものの、笑顔で楽しそうに行う人が多かった。

イメージとしては、ラジオ体操の筋トレ版、もしくはダンベル体操とでもいう感じだろうか。

 誰もが自分の体調や筋力に合わせて強度がアレンジできるように指導されている印象を受けた。また、頻繁に水分補給タイムが設けられていたり、指導員の方だけでなく、柴﨑さんやもう一人のスタッフの方が参加者を見守っていたりしたのも、やはり印象深かった。ちなみに、水を持って来なかった人には、カップに入れて配りもした(柴﨑さんたちの代わりに私が!)。

「世田谷いきいき体操」は、重りをつけて行うとベター

 この後、10分の休憩をはさんでしおり作りパートに入るのだが、参加した感想を言うと、このパートがあったことで、健康体操に参加しやすくなったように感じられた。それはどうしてだったのか?

 その理由とこの会の運営方法について、次回詳しく紹介する。

 なお、私はこの後、12月、1月と計3カ月に渡り会に参加したので、他の回の様子も合わせて報告したい。(続く)

注1)「ななつのこde運動し隊」は、シニアを中心とした地域の自主活動グループで、世田谷区社会福祉協議会の「ふれあい・いきいきサロン」の登録団体である。

注2)「公益財団法人世田谷区保健センター」は、地域の健康づくりの自主活動グルー
プの支援に実績のある団体で、2015年(平成27年度)に世田谷区から依頼を受けて、「
世田谷いきいき体操」を考案・作成した。

注3)世田谷区では「世田谷いきいき体操」を活動に取り入れたい団体に、「あんしんすこやかセンター(地域支援包括センター)」を通じて保健センターから運動指導員等を3~6回派遣する仕組みを設けている。

   
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