2024年5月15日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2024年2月14日

 行楽ジャパン社長の袁静氏も「中国国内では、若者が漢服を着て写真を撮るだけでなく、漢服を着て旅行をすることも定着していますので、ぜひ日本旅行に来た際も、漢服体験をしていただけたらと思い、初めてこのような企画をしました。中国人だけでなく、日本人にも漢服がどういうものかを体験してもらい、日中の若者交流にもつながればと考えています」という。

ビジネスチャンスである「漢服ブーム」

 漢服は中国の唐代や明代などの伝統的な衣装を現代風にアレンジしたもので、中国では数年前から若者の間で流行している。観光地などでレンタルできるサービスもあるが、ネットでもさまざまなタイプの漢服を購入することもできる。

東京タワーをバックにポーズをとる。こうした写真がSNSへ投稿されている

 週末にコスプレとして楽しみながら写真撮影を行い、中国の小紅書(シャオホンシュー)などSNSに投稿する若者が多い。中国では数年前から「国潮」(自国ブランドを好む消費トレンド)が広がっており、食品や化粧品、ファッションなどの分野でも、中国メーカーの商品、チャイナテイストを盛り込んだものが大人気だ。中国文化が見直されていることもあり、自国の伝統やデザイン、風習などに興味を持つZ世代も多い。

 そうした中国国内のトレンドもあり、今回、同企画が実施された。ツアーに参加した在日中国人KOLのAikoさん、ルイさん、王宇婷さんの3人は日本に住み、日本の観光地やトレンドなどをSNSで中国に発信しているが、「日本で漢服を着るのは初めて。とても楽しいですね。SNS映えもします」と話す。日本の新しい魅力を発見し、中国に発信することにつとめており、このような企画は「貴重な機会」という。

 春節休暇で来日し、同ツアーにたまたま参加した中国在住の富裕層の女性は漢服自体、着ることが初めてで、「日本でこのような体験ができるなんて思ってもいませんでした。東京タワーやレインボーブリッジなどの名所も2階建てバスから眺めることができて、とてもよい経験になりました」と語る。

 この女性は同じ企業に勤務する恋人と2人で来日しており、今回の旅行の予算は1週間で約100万円。大好きな『クレヨンしんちゃん』にゆかりの埼玉県春日部市を訪れるほか、都内のスパなどにも行く予定だ。

ツアーに参加した中国人観光客の2人

 以前、東京でファッション関係の学校に留学したことがあり、そのときに都内の一等地に不動産を購入。今回はそこに2人で泊まりながら、各地を旅行したり、買い物をしたりすると話していた。


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