2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月26日

 ドス・サントスが指名した後継者ロレンソは、伝統的パートナー以外の支援者を模索し、10年後に鉄道拡張を検討し始めた時、中国の入札を拒否し米国主導コンソーシアムによる30年借款を選んだ。

 経済協力は米・アンゴラ関係を深化させた。アンゴラは隣国コンゴ民主共和国の紛争仲裁で重要な役割を果たし、ロシア外相への第3次世界大戦に関する警告のように、中露に立ち向かうことを厭わなくなっている。これは、両国にとり良いことだ。

 米国は米国はアンゴラと過去に無い深い外交パートナーシップを持ち、コンゴ民主共和国の問題で真剣に協力している。彼らは米国の関与を希望しているが、これは他のパートナーとは違う。

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「一石四鳥」となった米国

 内戦で反政府派を支持した米国とアンゴラ政府との関係が改善し、同政府は、鉄道プロジェクトについて、伝統的ドナーである中国の代わりに、米国主導のコンソーシアムを選択した。これは極めて良い話だ。

 このディールにより、米国は希少金属の調達先を多角化でき、両国内で雇用を創出し、気候変動対策も進み、沿線開発で経済もさらに発展する、という「一石四鳥」だ。この記事によれば、両国関係の深化はそれに留まらず、隣国コンゴ民主共和国の紛争解決のためにアンゴラは真剣に協力しているし、ウクライナ戦争を巡って、伝統的支援国であるロシアに厳しい言葉を発しているという。

 それ以上に大事なのは、ウクライナ戦争への対応から見ても、まだ世界の唯一の超大国でありながら、その力を使うだけの強い意志が減退しつつあるように見える米国、就中バイデン政権が、依然としてアフリカの将来的重要性を認め、個々の小さいが重要な国に対して選択的に関与していくだけの研ぎ澄まされた神経を有していることだ。

 約2年前、中国が赤道ギニアに接近し、大西洋に面した初めての海軍基地に使える港の使用許可を働きかけていることを米国が察知し、赤道ギニアがそれを思いとどまるように種々の働きかけを行っているとの報道があった。その後、米側の努力が功を奏して、実際中国の基地使用は実現しなかったようだ。これも、米側の張り巡らされたアンテナがいまだ麻痺していないことを示す重要な例だが、米国はその後も引き続き頑張っている。


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