そうした経験やつながりによって松葉さんは「エルドラド(黄金郷)」にたどり着きます。
2018年にパプアニューギニアを訪れた時のことです。
「国有林の奥深くで80年前に部族がコーヒー栽培をしていたらしい」と聞いて、山賊対策として軍人に護衛してもらいながら山奥に分け入ったそうです。
「片道8時間かけて到着すると、コーヒーの木のジャングルが本当にあったんです。調べると品種交配される前のアラビカ原種(ティピカ亜種、ブルーマウンテン同種)でした。通常、オーガニック栽培は土壌改良に何十年もかかるのですが、ここは農薬の無かった80年前から自生できる環境が自然で成り立っているため、正真正銘のオーガニックでした」
ビジネスは大きさでなく持続性
パプアニューギニア・日本両政府の力も借り、約5年かけて日本に持ってくることができました。まさに「金脈」とも言える豆ですが、松葉さんは値段を引き上げたり、大量に収穫したりすることはしません。
「長く続けるために一人勝ちしない仕組みを作りました。例えば、ブランディングをして価格を上げれば、もっと収穫しようとなります。ですが同時に、自然とコーヒー豆や木葉が落ち土の養分になるサイクルや動植物のバランスが崩れます」
ビジネスを大きくするのではなく、小さくても持続性を大事にしたのです。イフニコーヒーのパッケージにはこう書いてあります。
「いつも新鮮な一杯を。生活のコーヒーをお楽しみください」
私にとってもそうですが、多くの人にとってコーヒーは毎日の生活に欠かせないものです。だからこそ、持続性が大事なのです。
静岡県静岡市葵区水道町125 054-255-0122