2024年12月7日(土)

古希バックパッカー海外放浪記

2024年3月24日

『2023.11.11~12.28 47日間 総費用22万円(航空券8万7000円含む)』

観光業は貴重な外貨収入源だけど主な客人はどんな人たち?

世界遺産ダンブッラ洞窟寺院の内部。このような大きな洞窟の部屋が5つある

 スリランカにとり出稼ぎ労働者の海外送金と観光収入は最重要外貨収入源だ。観光収入はコロナ前の2018年には42億ドル(外国人観光客250万人)と史上最多を記録。政府目標は2026年までに500万人達成である。ちなみにコロナ明けの2023年1~9月で100万人を突破した。

 統計によると外国人観光客の国別内訳は2023年1~8月(総数90万人)では第1位インド(17万人)、第2位ロシア(12万5000人)、第3位英国(8万3000人)、以下ドイツ、フランス、オーストラリアと続く。そして第7位中国(3万8000人)となっている。日本人は数千人と圏外。

 インド人は経済成長に伴い年々増加。ロシア人は2023年の春先までは徴兵逃れが多かったが、その後も冬季の避寒地として物価の安いスリランカが人気のようだ。中国はコロナ前には第1位であり2024年度はトップ3に入ると現地では予想している。

 今後スリランカ観光業界のお客様はインド人が断トツで中国人、ロシア人がトップ3を占めることになりそうだ。なかなか“やっかいな客人”をオモテナシして観光業界は外貨獲得に励まなければならない。

ウクライナ戦争は他人事のロシア人たち

 11月24日。世界遺産のダンブッラ石窟寺院の見学を終えて涼んでいると、人の良さそうな腹の出た50歳くらのロシア人の大男が声を掛けてきた。大の日本通らしく仏教や浮世絵など詳しい。葛飾北斎の有名な富岳三十六景『神奈川沖浪裏』について最初見たときは「凄く勇壮な絵なのでてっきりモンゴルが日本来襲した時の軍船だと思ったよ」と豪快に笑った。

 仕事は投資ビジネス。現在スイス在住。過去2回日本への旅行を計画したが1回目は家族が病気になり、2回目はコロナで断念。2024年の日本列島縦断桜の花見を計画している。「やはりプーチンしか指導者はいない。ロシア経済はそれほど悪くない」とプーチン支持を断言。

 大男と談笑していたら連れの35歳くらのロシア人男性が合流。アゾフ海を挟んでウクライナの対岸にあるロストフ出身。ウクライナとの戦争が終わったらジョージアとキプロスにある不動産を処分してロシアに家を購入するとのこと。

 やはりプーチン支持派であり経済制裁による市民生活への影響については「影響は全くない。スーパーで売っている欧州製シャンプーが中国製に変わったくらい」と歯牙にもかけない様子。この二人は典型的なプーチンの岩盤支持層なのだろう。

 洞窟寺院からの帰路でも数組のロシア人カップルを見かけたが、楽しそうに記念写真を撮ったりして屈託がない様子。

 12月26日。ヒッカドウアのビーチ・リゾートに一か月滞在していたモスクワ近郊在住の50歳前後のご婦人4人組はビールジョッキ片手に放浪ジジイをからかって「ヤポンスキー、ハラショー(日本人、素晴らしい)」と呵々大笑。

中国人団体旅行は過密スケジュールの弾丸ツアー

世界遺産キャンディーの仏歯寺の本堂。毎朝9時半からの礼拝時は全国から集まる熱心な仏教徒で立錐の余地もない

 11月30日。キャンディーの世界遺産“仏歯寺”はスリランカ屈指の観光名所。観光バスが道の両側に並んでいるが大型観光バスはほぼ全て中国製だ。中国金龍汽車の新しいバスのフロントガラスに上海●●様ご一行と中国語の案内板。運転手によると中国人観光客はガイドが仏歯寺を案内中という。

 運転手はコロンボ空港で一行12人を乗せてから9日間の日程でスリランカを一周してコロンボ空港へ送り届けるという。毎日バスで移動して名所旧跡、世界遺産、レストラン、土産物屋、夜のイベントと過密スケジュール消化のため時間通り走らなければならないので神経は使うし体力的にも疲れると運転手は嘆いた。

 通常中国人の団体旅行は旅行代理店が現地の中国人経営のホテル、レストラン、土産物屋、バス会社を手配して三食全て中華料理。つまり中国系業者だけでツアーが完結する。旅行会社は現地業者からリベートを徴収し持ちつ持たれつの関係。従って旅行会社はリベート稼ぎのためになんでもかんでも詰め込んでタイトな旅程を作る。

 この上海●●様一行の旅程表にもシーギリヤ・ロック、ダンブッラ石窟寺院などの世界遺産見学、ホエールウォッチング、キャンディー民族舞踊鑑賞などが連日ぎっしりと詰め込まれていた。

中国人はダイビング・ショップの上得意

ヒッカドウアの中国人経営のホテル&レストラン。ダイビングショップも兼営。雲南省の男女8人のダイバー客が逗留していた

 12月24日。スリランカ随一のビーチ・リゾートであるヒッカドウアの大手ダイビング・ショップのオーナーは開業30年の業界通。スリランカ北東部海岸は3~9月がダイビング・シーズン。ヒッカドウアのある南西部海岸は11~4月がシーズン。オーナーは両方にショップを持ち通年営業している。

 オーナーによるとコロナ以前は10人~20人くらいの中国人グループダイバーが数日から一週間程度滞在していたと。当時は中国人グループの予約でスケジュール表がどんどん埋まっていった。2023年秋から中国人ダイバーが戻って来たので2024年以降は最盛期のように中国各地からのグループで賑わうと期待した。

 中国人ダイバーはバリ島やプーケットなど東南アジアでライセンスを取得してダイビングの基礎ができているし英語が通じて金払いも良いので上得意という。またウェットスーツ、水中眼鏡、フィンなど自前の高価な欧米ブランド品を持参してくるダイバーが多いと。

 他方で最近増えたのがインド人客だが大半はダイブ経験のない初心者。しかもほとんど泳げない客も多いとオーナーは苦笑。当日もインド人の若者グループが浅いところでインストラクターについて基礎を習っていた。

 ちなみに十数年前は日本人グループダイバーが上得意だったが最近はほとんど見かけないと。どうもダイビングでも日本は中国に抜かれたようだ。


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