2024年6月15日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月9日

 モルドバは慎重に対処する必要がある。トランスニストニアの多くはロシア人なので、モルドバ政府が再統一の政策で不手際をすれば、彼らはモスクワの「トロイの木馬」になる可能性がある。

 アルメニアにおけるロシアの立場は、クレムリンが、(昨年)9月のアゼルバイジャンによるナゴルノ・カラバフへの侵攻を防ぐために何もしなかったことから急落した。この事象により、ロシアが庇護者であるというアルメニア側の認識は崩壊した。しかし、アルメニアはエネルギーをロシアに依存し、ロシアはアルメニア領内に軍事基地を展開している。

 一方、ナゴルノ・カラバフ侵攻はアゼルバイジャンと西側との関係を緊張させ、アゼルバイジャンをロシアに一層近づけた。

 ジョージアでは、ロシアはアブハジアと南オセチアという2つの分離地域を通じて長期にわたり影響力を保持している。また、ジョージア政府はロシアに同調的な姿勢を頻繁に見せている。他方、多くのジョージア国民は欧州連合(EU)加盟国となることを強く望んでいる。

 この地域全般にわたり、ロシアの威光と力は、3年前と比較しても低下している。他方、この地域はいまだ西側民主陣営に組み込まれてはいない。ロシアと西側の競争は、ウクライナ問題を主要な焦点として続く見込みである。

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〝ロシア離れ〟のモルドバとアルメニア

 この論説は、旧ソ連諸国におけるロシアの影響力の微妙な変化について、それぞれの国が抱える複雑な事情が詳細に説明されており、ロシアと旧ソ連諸国の関係を見る上で有益な分析となっている。以下では、いくつかの国につき補足説明をしておきたい。

 モルドバは親欧州でEU加盟を目指しており、ロシアによるウクライナ侵略以降、ロシアとの関係がますます悪化している。トランスニストリアの指導部がロシアに庇護を求めるようなアピールを出した件は、西側に強い懸念を与えた。分離主義者がロシアに助けを求める構図はウクライナと同じだからだ。

 モルドバは3月7日にフランスとの防衛協定に署名するなど、欧州との関係強化をますます鮮明にしている。モルドバ情勢は緊張が高まっており、注視する必要がある。


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