2024年12月26日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月16日

 チョン氏は2026年には退任するとみられる。チョン氏による政府上層部の大改革の中で、23年1月、トゥオン氏の前任者であるグエン・スアン・フック氏が辞任し、2人の副首相も職を離れた。

 汚職捜査が長引き、民間企業にも拡大するにつれ、政府のプロジェクト承認やライセンス付与に影響を及ぼしていることから、投資家は神経質になっている。役人たちは、汚職捜査の対象となることを恐れて、認可を与えることを躊躇するようになっている。

 トゥオン氏の辞任は政治的安定にとって好ましくない。また、捜査の一環として外資系企業が汚職容疑で調べられることはなくても、官僚的手続きの遅れと政治的不安定が投資家に影響を及ぼす。このような事態は、ベトナムに大規模な投資を行おうとしている外国企業を躊躇させてしまう。

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昨年1月から4人が解任

 今般のトゥオン国家主席の辞任は、多くの人にとって突然の驚きであった。記事が述べている通り、外国投資家の心理に影響が出ることが懸念されるだけでなく、各種プロジェクトの承認がこれまで以上に遅延する恐れが高くなると思われる。

 辞任理由については、「党員として禁止事項を破った」という説明しかなく、詳しいことは推測するしかないが、3月20日の臨時中央委員会総会では、トゥオン国家主席の辞任だけでなく、ラン・ビンフック省前共産党書記の除名処分等が決定されている。ラン前党書記は、不動産会社フックソン・グループの不正経理事件に絡み、8日に収賄容疑で逮捕されたが、同じタイミングでビンフックおよ及びクワンガイ省の人民委員長、元人民委員長等も収賄容疑で身柄を拘束されている。

 トゥオン国家主席は、11年から16年までクアンガイ省の党書記をしていたことから、この事件に関連して責任を問われていると思われる。新国家主席の有力候補の一人は、マイ党書記局常務(越日議連会長、女性)であろう。


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