2024年12月14日(土)

Wedge REPORT

2024年5月22日

 建設業の労働環境において、「働き方改革関連法」により2024年4月から時間外労働の規制が強化された“建設業の2024年問題”。

 労働時間超過や人材不足など問題が残る建設現場の実態、インフラ老朽化や被災地における対策と、改善の論点を挙げればキリがない建設業について必読の記事を集めました。

 国内の産業にまつわる問題を提起する人気記事の中から、<建設業>をテーマにした6本を編集部が厳選してお届けします。

<目次>

1:【人材も工期も予算も足りていない】残業規制強化では解決にならない建設現場の実態(2023年8月21日)

2:【誰のための「働き方改革」か】なくてはならない建設業を持続可能にするために必要なものとは(2023年8月19日)

3:「魅力がない分野に人材は集まらない」巨大マーケットを抱える建設業界が変わらなければいけないこと(2023年8月23日)

4:「当たり前の日常を守っていきたい」インフラ管理の技術と志を受け継ぐ次の世代はどこに(2021年9月30日)

5:「問題はゼネコン側にある」再開発に浮かれる建設業界の実態をベテラン大工が語る(2024年1月6日)

6:【当たり前の暮らしの陰で闘っているが…】知られざる被災地の建設業の苦労(2024年1月17日)

1:【人材も工期も予算も足りていない】残業規制強化では解決にならない建設現場の実態(2023年8月21日)

 海外パビリオンの建設遅れで、大阪・関西万博の開催(2025年)を危ぶむ声が増えてきた。関係者からすれば悩ましい問題だが、建設の側からすると「チャンス」だとも思える。それくらい、建設現場には、人材も、工期も、予算も足りていない。そのことを多くの人に知ってもらう機会になるかもしれない。

 24年から残業規制が強化される。施行まで5年の猶予があったのに、何をしていたのか、という批判もある。しかし、人材は簡単に見つかるものではない。そもそも、残業規制で罰則を与えても、建設業特有の構造問題を解決することはできない。

 建設現場は天候によって仕事の進捗が左右される。雨が降って工事ができなかった分、工期に合わせるために深夜、休日に作業をするのは当たり前だ。夏場の猛暑日になると、ニュースで「外出を控えてください」と呼びかけるが、「今日は気温が35度なので、現場は休みです」なんてことはありえない――。

【続きはこちら】
知ってほしい建設現場の実態 分かってほしい私たちの仕事を

2:【誰のための「働き方改革」か】なくてはならない建設業を持続可能にするために必要なものとは(2023年8月19日)

(RICHARD NEWSTEAD/GETTYIMAGES)

 猛暑が続いている。工事現場では、安全のため暑い夏でも半袖は厳禁だ。夏場は左右の脇腹にファンのついた「空調ジャケット」を着ることが定番になった。だが、「35度を超えると、ドライヤーの熱風を浴びているようだ」と技能者(職人)の一人が教えてくれた。

 ニュースでは連日、キャスターや気象予報士が「猛暑日なので、不要な外出は控えてください」と呼びかける。そんな過酷な状況の中、家族のため、夢のため、住宅ローン返済のため……、さまざまな思いを持った人たちが働いていた─。

 そんな現場をよそに、エアコンが効いた快適な〝会議室〟では建設業界の働き方改革の検討が進められている。2024年4月を前に、建設業界が慌ただしいのはこのためだ。19年に施行された時間外労働の上限を定める改正労働基準法が、5年間の猶予期間を経て遂に適用される。上限を超えた場合は、使用者に対する罰則規定もある――。

【続きはこちら】
建設業の魅力向上の〝本丸〟は「働き方改革」にあらず

3:「魅力がない分野に人材は集まらない」巨大マーケットを抱える建設業界が変わらなければいけないこと(2023年8月23日)

(segawa7/gettyimages)

 将来のインフラの経年劣化が避けられない中、構造物のメンテナンスの重要性が増している。どのような人材や技術が求められるか、橋梁工学が専門の三木千壽氏に聞いた。

三木 社会インフラの老朽化に対する関心が高まる契機となったのは2012年12月2日に発生した中央自動車道笹子トンネルでの天井板落下事故である。

 翌年の13年3月、太田昭宏国土交通大臣(当時)は「社会資本メンテナンス元年」を宣言し、同年6月には道路法を改正し、「道路の老朽化や大規模な災害の発生の可能性等を踏まえた道路の適正な管理を図るため、予防保全の観点も踏まえて道路の点検を行うべきことを明確化」することが明文化された――。

【続きはこちら】
進むインフラの老朽化に建設業界はどう対応すべきか

4:「当たり前の日常を守っていきたい」インフラ管理の技術と志を受け継ぐ次の世代はどこに(2021年9月30日)

(舞鶴高専)

 2012年12月2日、山梨県の中央自動車道笹子トンネルで天井板崩落と火災で9人が死亡。13年2月10日、静岡県浜松市の第一弁天橋が歩行者横断中に落橋。通行人は幸い無事だったが、あわや大惨事だ。

 道、トンネル、橋──私たちが日々利用するインフラの老朽化問題。国土交通省は全ての橋梁、トンネル等について5年に1度の点検を義務付けている。

 橋梁は全国に約72万橋ある。その“高齢化”も待ったなしの状況だ。29年には約半数が建設後50年以上となる。14年から18年にかけて実施された一巡目の定期点検では、早期に措置を講ずべき状態 (判定区分Ⅲ)と、緊急に措置を講ずべき状態 (判定区分Ⅳ)を合わせ、修繕が必要な橋は全体の約1割、7万橋近くあると判明した――。

【続きはこちら】
地元の安全は地元で守る 高専で育てるインフラ人材

5:「問題はゼネコン側にある」再開発に浮かれる建設業界の実態をベテラン大工が語る(2024年1月6日)

(VECTORIG/GETTYIMAGES)

 「現場の課題と仕事の醍醐味とは?」。この道30年のベテラン大工の本音に迫る。

片山淳一さん(仮名)50代・大工

 私が建設業界に入ったのは、学生時代のアルバイトがきっかけです。当時はバブル景気の真っ只中で、今と同じように職人が不足していた。学生バイトにも1日1万2000円を支払ってくれたほど。現場にはいい人が多くてね。だから一般企業には就職せず、大工の道に進むことにしました。昔も今も大卒の職人なんて珍しいです。今となってみれば、人生を間違ったのかもしれません(苦笑)。

 大工をやって30年以上経つので、現場の職長を任され、若い人を教える機会も増えています。でも日当は1万8000円です。残業すると少しは増えますが、学生バイトの30年前とそんなに変わらない。業界以外の人は驚くでしょう。これが建設現場の現実です――。

【続きはこちら】
「問題はゼネコン側にある」ベテラン大工が語る建設業界

6:【当たり前の暮らしの陰で闘っているが…】知られざる被災地の建設業の苦労(2024年1月17日)

(IWATE PREFECTURE KENSETSUGYO KYOKAI)

 今日も岩手に雪が降る。それは決して特別なことではない。雪によって閉ざされた道は、いつの間にか開かれる。それはきっと特別なことだ──。岩手県建設業協会青年部が制作した動画「The Mission~いつもの朝をむかえるために~」の一節だ。

 雪が降る寒冷地において、冬場の「除雪」は日常生活を送る上で欠かせない作業である。県内で除雪の対象に指定されている道路の総延長は約2万1700キロメートル、およそ地球半周分にも及ぶ。同協会の村上純也総務・企画総括課長は「豪雪地では真冬になれば毎日のように雪が降る。通常の仕事が終わった後、翌朝の通勤・通学に支障がないよう、夜間に作業することが多いので、建設会社が除雪していることを知らない人も多いですね」と話す――。

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被災地も悩ます積雪 閉ざされた道を開く建設業の苦労

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