2024年7月16日(火)

都市vs地方 

2024年6月10日

日本にとって適切な人口規模とは

 少子化対策を議論する上で、そもそも日本の人口が減ることの何が問題か、ということも議論が必要であろう。日本は狭い国土のわりに人口規模の大きな国である。

 可住地面積は、例えばドイツは日本の2倍強、英国は2倍弱、フランスは4倍弱、米国は50倍以上であるが、人口は英国、フランスが日本の半分強、ドイツが日本の約6割5分、米国は日本の約2.7倍である。可住地面積当たり人口でみると、ここで挙げた諸外国に比して日本には人が多すぎると考えることも可能である。

 もちろんそんなことはなく、日本はまだ十分に人口増加を受け入れる余地があると考えることも可能である。単に今よりも減る、もしくは、増えるから、良いとも悪いとも言えないのではなかろうか。

 では人口減少が明らかに悪影響を及ぼす可能性はないであろうか。一つ大きな可能性として、制度と人口減少との不整合性が考えられる。

 さまざまな制度が人口増加を前提に作られており、人口減少に対応できていなければ、大きな問題を引き起こす。賦課方式の年金制度などが代表例である。しかし、その場合、解決策として人口減少を止めることを目指すだけでなく、制度を変えることも同時に検討すべきである。

 制度を温存するために人に犠牲を強いてはならない。人口減少への対応と制度の変更、それぞれの費用と実現可能性を真摯に比較し、次世代になるべく負荷をかけない方向を選ばねばならない。

 このように、「人口減少」という問題は地方ではなく、国の問題であり、その対策もその地域がどのような場所となるべきかによっても大きく変わる。人口が少なくなっていくからといって一概に「消滅可能性」と危機を煽るやり方は得策ではない。

 世界から見た日本、日本という国から見た各地域を考えた上で人口減少社会との向き合い方、対処すべき施策を検討することが必要となっている。

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