2024年11月23日(土)

中国メディアは何を報じているか

2013年12月24日

 中央規律委員会・監察部(党では中央規律委員会、政府国務院では監察部という2枚看板を掲げているためこう称される:筆者)が公表した「8項規定」の違反者統計は驚くべきものだった。こうした統計数字を公表すること自体が贅沢禁止に徹底的に乗り出すのだという決意の表れだと一応の評価もできよう。その数以下の通り。

違反件数17380件、地区級市(330超ある:筆者)・庁(局)級217件、県・処(課)級904件、郷・科級16259件
違反者数19896人、地区級市(330超ある:筆者)・庁(局)級35人、県・処(課)級769人、郷・科級19092人

 しかし、よく考えてみると、この数字も公務員全体数からみるとそれほどのものではないかもしれない。メディアの報道が大々的な割には、党や政府を糾弾しているわけではなく腰砕けの感もある。高級レストランやラウンジも依然利用され、まさに「上に政策あれば下に対策あり」状態になって、贅沢浪費は裏で依然続いている。

 中央規律委員会が各地(省)に巡視グループを派遣し、駐屯して汚職調査を行っているが摘発された人名が公表されるもののその全体像が明かされる様子はない。「習政権」が本気だとしても政治的腐敗構造の根深さに対応しきれていない。幹部たちの財産公開も検討されているようだが、反対派の巻き返しも激しく財産公開制度実施の有無は予断を許さない。

 ただ汚職の追求はついに前党中央政治局の常務委員、つまり中国トップ9の「チャイナ・ナイン」であった周永康にまで及ぶ様相を見せている。汚職摘発の激しさとその根深さに驚きを禁じ得えず、引き続き習政権の「虎とハエ退治」劇場は要注目である。

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