2024年11月22日(金)

お花畑の農業論にモノ申す

2024年9月6日

 「日本のJA(農協)は生産から販売まで農家をサポートしており、すばらしい」「農家がJAに出荷する際、売れるかどうかは分からないのに、本当に販売代金を支払うのか?」――。これらは2024年6月に台湾での技術研修で筆者が日本の状況を説明した際に、海外の研修員から出た驚きの声である。

JAの本当の評価は?

 来日するJICA研修員や海外を訪問した時に日本の農業について説明すると、いつも興味を持たれ高評価なのが、JAである。筆者も、国内での評価との違いにしばしば戸惑うほどだ。今回は筆者の経験を通じてJAの長所・短所について考察し、今後のJAのあり方についても考えてみたい。

生産から販売まで手掛ける「オールラウンドプレーヤー」

 徳島県の特産物であるサツマイモ「なると金時」。その生産から販売まで支援しているのがJA里浦(徳島県鳴門市)だ。参事の中條啓司さんが生産指導から輸出の商談にまでかかわる。

 JA里浦管内ではサツマイモが330ヘクタール(ha)、ダイコンが100ha栽培されている。中條さんは、JA里浦ファームというJA里浦の100%子会社の農産物生産・加工・販売法人の代表でもある。 

徳島県JA里浦内圃場。辺り一帯さつまいもが植えられている(筆者撮影)

 管内農家の平均経営面積は1.5haで、規模の大きい農家の経営規模は3ha程度。5ha以上になると法人化している農家も増えつつある。現在、JA全体での売上は30億円だが、昭和50年代では50億円に達したこともあり、全国屈指のサツマイモの産地でさえも減少傾向だ。

 この産地での中條さんの活動は幅広い。まず、JA職員の幹部として、「里むすめ」というなると金時のブランド普及に力を入れている。営農指導員時代は、なると金時の栽培指導に従事し、地域の農業振興に奮闘してきた。

JA里浦のサツマイモなると金時「里むすめ」(中條氏提供)

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