経営・管理ビザとは、日本で貿易その他の事業の経営を行い、または、当該事業の管理に従事する活動を行うための在留資格だ。23年は約1万7800人の中国人がこれを取得した。
中国人経営者は日本から何を学びたいか
学生が経営する業種はさまざまだが、中国である程度成功した人が多いという。
「彼らは日本企業の持続性や後継者問題、ファミリービジネス、人材育成などにとくに関心を持っています。中国では大きくなった民営企業でも、創業20~30年程度で、継承問題が起きてくる。後継人材をどう育てるか悩んでいる人が多いですが、国内には先例が少ないのです。しかし、日本は100年以上続く老舗企業が世界で最も多く、約3万社もあるといわれていますので、その秘訣を学びたいと彼らは思っています」(雷氏)
学生の入学目的は大きく3つある。1つは久しぶりに学生に戻り、キャンパスライフをもう一度味わうこと、2つ目はMBAの学位取得、3つ目はさまざまな経営者と交流したり、ディスカッションしたりして刺激し合い、視野と人脈を広げることだ。
なぜ、桜美林大学は中国語MBAを開設することになったのだろうか。
「そもそも大学創立者の清水安三氏が北京に学校を設立したというルーツがあり、中国と親和性が高かったことがあります。これまでも中国の多くの大学と留学生を交換してきたという実績もあります。少子化により、どの大学も学生の確保に頭を悩ませていますが、中国語MBAは人数こそ少ないものの、今後の大学の生き残り戦略の一環といった側面もあります。
これらに加え、近年の大きな特徴として、日中ビジネスの潮流が、これまでの日本から中国へ、という流れではなく、中国から日本へという逆方向の流れに大きく変わってきているという点も挙げられます。中国では近年、『游学(ヨウシュエ)』(視察・研修ツアー)が流行していますが、『日本から学びたい』、あるいは『日本をマーケットとして考えている』という経営者が多く、日本経済、日本株などへの関心も高いです。
バブル崩壊、少子高齢化など『中国の日本化』も指摘されていますが、中国がこれから直面する問題の多くは、日本が先に経験しており、日本から学ぶことが多い。そうした流れの中で開設に至りました。
私は中国人経営者などを招いて講演してもらう日中ビジネスサロンを不定期で開催していますが、新宿キャンパスは都心の便利な場所にあるので、各種セミナーや研究会なども含め、これからさまざまな活動ができると考えています」(雷氏)