2024年12月22日(日)

Wedge REPORT

2024年11月1日

政見放送やネット規制、変えるべきことは多い

 選挙期間中、テレビやラジオをつけると、自分が投票権を持っていない地域の候補者のスピーチを延々と聞かされることがある。他の選挙区の候補者の話を聞くことがまったく無駄とは言わないが、これが公費によって賄われていることを考えると、工夫が必要ではないか。

 現在の政見放送は選挙区別ではなく都道府県ごとの政党別だが、これは政党側の都合に基づく編集にすぎない。有権者の立場からは、党派を問わず自分の選挙区で立候補している人全員のスピーチを順に聞いた方が投票の参考になる。有権者本位の政見放送に変えるべきだ。

 現代ではほとんどの国民がスマホを持っているから、自分の選挙区の候補者たちのスピーチをスマホで聞くことかできるようにすれば、それで足りるとも言える。

 インターネット利用の禁止規定にも変えるべきことがある。現在の規制ではLINE(ライン)やフェイスブック、ユーチューブなどによって有権者は自由に投票を呼びかけることはできる。だからネットとリアルの相乗効果を目的とした選挙運動が一定の効果を上げている。

SNSはすでに選挙運動に活用されている(立憲民主党HPより)

 しかしメールによる選挙運動は禁止されている。理由は、誹謗中傷の恐れがあるからである。しかしこの点は上記SNS等でも同様である。制限を外してよいのではないか。

 同時に、SNS等による誹謗中傷対策を充実したほうがいい。これは選挙に限らず日本の社会にとって大切なことである。

急務な技術開発と制度改正

 かつて江東区長選挙で、禁止されている有料のインターネット広告を利用したとして当選した区長が罪に問われたことがある。これを無制限に許すと選挙が金次第ということになりかねないので妥当な制限だが、現在のインターネット利用制限のうち見直すべきところは見直すべきだ。

 今回、解散時期が想定より早まったこともあり、在外国民の投票に間に合わない場合があるという報道があった。こういう分野については電子投票の制度等も併用するよう技術開発と制度改正を検討したらどうか。

 各政党、各陣営とも、今回の総選挙の結果を見て、有権者のSNS等のアドレス・リストの集約や活用方法をさらに強めて本格的に利用していくことになる。だからこそ、この方面の規制の見直しと選挙スタイルの変化に対する選挙制度の対応を急ぐべきだ。

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