Taipei Timesはこの頼の発言を取り上げ、「PRCは一日たりとも中華民国(台湾)を支配したことはない」というのは正しい、と論評している。
頼清徳はもともと「民進党」のリーダーの一人として頭角を現した時、自分は台湾独立のために仕事をしたいと考えている、と述べて注目を浴びた。その後、蔡英文政権の副総統などを経験し、「台湾独立」に直接言及することを封印し、そのかわり、台湾はすでに主権の確立した「主権国家」である、として中国との間では「現状維持」を目指し、対等の話し合いを行う、との立場を表明してきた。今回の双十節(国慶節)での頼清徳の発言は、いずれにせよ、「中国は台湾を代表する権利はない」というものである。
中国の軍事的圧力で高まる台湾の嫌悪感
当時の米国下院議長ナンシー ペロシが2022年に台湾を訪問して以来、中国は台湾を取り囲んだ形で4つの大きな軍事演習を行った。特に、ごく最近では、空母「遼寧」が台湾を取り巻く形で台湾海峡を就航し、頼政権を威嚇した。
このような中国の行動が台湾に如何なる影響をおよぼしたかについては、上記社説にも記述がある通り、台湾で取られた最近の台湾民意基金会(Taiwanese Opinions Foundation)の世論調査の結果が示している。この世論調査によれば、90%の台湾人が中国に嫌悪感を抱き、77%が「中台統一」に反対しているが、これは前回調査(2016年)の23%増を意味するという。
つまり、中国が台湾への軍事的圧力を強めれば強めるほど、台湾住民たちの対中嫌悪感は増大している、と見ることができる。
昨年以降では、10の国々の軍艦が台湾海峡を通過したと言われているが、その中には、ドイツの軍艦、日本の自衛艦の台湾海峡での初めての就航が含まれている。中国の行動が、期せずして中国の意図に反する形で、多くの国々の疑念を増大させている、というのが、実態であることは言うまでもないだろう。
中国共産党の公式立場は「台湾統一に向けた歴史の流れは変えられない」、という陳腐なものだ。