2025年2月8日(土)

新しい〝付加価値〟最前線

2024年12月27日

12種類の土をブレンド

「ブレンド」という名称で、一番思い出されるものと言うと珈琲だろう。お店オリジナルブレンドでも、最低3〜5種類をブレンドする。

 このレベルだと、ブレンドする最大の理由は、新しい味を作るため。

 しかし30種類の豆をブレンドするコーヒーも存在する。世界で一番消費されているネスレのネスカフェだ。

 30種類もあると、当然「これ必要なの?」という豆もある。答えは「必要」。が、どこぞの料理漫画の様に、この一粒で味が変わるからではない。その逆、味を変えないためだ。

 ネスレのネスカフェは、コーヒーの中のド定番。侮れない美味しさで、安い。が、それを維持するためには何が必要か? 原料(コーヒー豆)が豊富なことだ。が、コーヒー豆は農作物。不作の年もある。が、それで味が変わる様では「定番」にはならない。そのための多種ブレンドなのだ。

 陶芸の土も今は、大半が輸入。良い土は限られる。鉱山のように、これ以上は取れないと、使えなくなることもある。また戦争などの国際事情により輸入できなくなることもある。ここから、土をこねるという工程に進む。均一に求められる水分になるよう、時間をかけ、慌てず、その状態になるまでこねる。土のハンドリングはディスク状にして行う。表面積が大きい方が水分調整に有利だからだ。

ディスクプレート。土ができると、成形がはじまる

成形は真上からとは限らない

 陶芸で一番有名な工程は「ろくろ」だろう。みるみるうちに形ができるその工程は魔法を見る様でもある。

 ろくろはシンプルながらいろいろな形を作ることができる。それは相棒が「手」だからだ。人が動物と大きく違うのは「二足歩行」「脳の進化」「手の進化」だ。動物でも手を器用に使うが、人間はそれ以上。なんたって親指の可動域の広さは、他の動物にはないほどに進化している。

 ろくろは上から映像に撮られることが多く、上、もしくは真横から削ると思っている人も多いが、形を整えるのに使うのは、手。下からでも、斜めからでも自在に扱うことができる。

 内釜の成形は、型に入れた土を巨大なおしゃぶりの形をしたもので、落ち潰し成形する。その時、おしゃぶり形の型は、斜めから押し当てる。焼いた時に壊れないためには、中身が均等であることも必要条件。そのため、真上からとばかり思っていたのだが、考えてみれば炊飯器用の釜だといろいろな膨らみが必要となる。真上からだけでは対応できない。斜めからの型インサートという発想が出てくる。


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