2025年2月11日(火)

新しい〝付加価値〟最前線

2024年12月27日

最初に最高温で焼く

 ミヤオは3回ある「焼き」の工程の順番を変えた。約1300℃で焼く、最高温での焼きを一番最初に持ってきたのだ。陶器の焼きは寸法が狂わない様に、焼く温度は後の方が高い。それでも水分の関係で割れたりする。

50m位ある炉(上)。温度チェックは、炎の色で行う(下)。

 先に最高温で焼くということは、この時点で寸法は変わらなくなることを意味する。当然、割れは出るだろうが、ここをクリアしたものは、その後の工程で寸法の狂いが出ない。つまり、釉薬を塗る、発熱体を付けるなどの作業が無駄になることを防ぐことができる。

 が、こんなことができるのは、あくまでも高価格炊飯器用だからだ。内釜にもコストをかけられる。低価格炊飯器で、そんな贅沢は許されない。しかし工場でNG品の山を見た時は、わかっちゃいるけど……という気分にもなった。

 しかし、コストで吸収するからと言って、そのままだと歩留りが悪いままである。歩留りを上げるには、それまでにすべき、土の均一化、成形、乾燥を丁寧に行う必要がある。特に手感触と経験による水分コントロールがポイントになる。今風な技術に言い直すと高性能センサーとAIに当たるが、視覚、触覚、嗅覚などを総動員し判断し、最適点を見極めるのは、まだまだ人には遠く及ばない。工場では、一人一人が、注意深く、しかしタクトを落とさない様に仕事をこなしていた。

 最先端の技術は、職人芸から始まる。

寸法精度をチェックする機械(上)。テンポラリ作業は五感を活用し、総合的な判断を行う。機械では無理な作業(下)

新着記事

»もっと見る