2025年2月1日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月29日

 2025年1月6日付のウォールストリート・ジャーナル紙は、トランプは欧州が歴史上の王座の地位から退位したと考えていると指摘するウォルター・ラッセル・ミード教授の論説を掲載している。

(CatEyePerspective/gettyimages)

 トランプが大統領に復帰する時が近づいている中、欧州の同盟国は不快な真実に気づきつつある。トランプ第二期は、第一期にもまして混乱を引き起こしそうなことだ。

 今、西側の多くが衰退している。欧州連合(EU)と日本は数十年間、はかばかしい実績を示してこなかった。日本は覚醒しつつあるが、欧州の同盟国のほとんどが、経済的、政治的、戦略的失敗を続けてきた。

 経済面では、欧州諸国の多くは、デジタル時代に対応できず、新技術を生み出すこともできず、間違った気候政策をとることで競争力を失っている。

 政治面では、欧州の友邦は、欧州を偉大にすることができなかった。個々の国は小さすぎて世界的な出来事に大した影響を与えられず、EUの官僚機構は動きが遅く、主要な世界的相手に伍していけない。移民政策の失敗により、各国における既存政党は力を失い、左右の過激な勢力の進出を許している。

 戦略的な失敗はさらに明らかだ。欧州は中東の混乱、ロシアの侵略、中国の略奪的な経済政策に対し脆弱である。欧州は紅海における通商へのフーシ派の干渉に対し、積極的に動こうとしなかった。

 フランスはロシアによってアフリカから放り出された。ウクライナでの戦争が3年になるのに、欧州は依然としてロシアからエネルギーを購入することでプーチンの戦争に資金を与えている。

 欧州経済の支えである自動車産業は間違った環境政策のため中国によって破壊されつつある。結果、欧州は今まで以上に米国を必要とするが、米国の政策に影響を与えることも、米国がグローバルな課題に対応することを助けることもできない状況である。


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