新聞紙面から見える〝弱腰姿勢〟
最初の会見への参加が許された新聞社は当初、後に大きな波紋を広げたこの問題をどのように扱ったか。翌18日付朝刊は、朝日や読売、日本経済新聞が識者の談話でフジテレビの対応などに問題があったことを指摘しているものの、記事は2面や社会面に確認できる。
すべての全国紙が「やり直し会見」を1面から他面にも関連記事を組んで大々的に取り上げたのとは対照的だった。このことからも、「やり直し会見」は、最初の会見で厳しく問題を追及できず、問題意識を提起するような紙面展開ができていなかった「オールド・メディア」の弱腰姿勢が導いたともいえる。
ただし、フルオープン形式で、10時間を超えた「やり直し会見」は異様だったと言わざるを得ない。一部メディアの調べによれば、2023年の旧ジャニーズ「性加害問題」の4時間10分、19年の吉本興業「闇営業問題」の5時間30分を大幅に上回った。
参加媒体はテレビや新聞、ラジオ、雑誌のマスメディアに加え、専門紙やフリーランスのジャーナリスト、動画サイト運営者ら多岐にわたり、会見時間も制限を設けず、全ての質問を受ける形が取られた。一部メディアによると、延べ111人から504の質問があった。項目別の最多は「トラブルの経緯」で114問、ついで「経営責任・進退」が50問、「(中居さん)の番組起用継続」(48問)、「日枝相談役の影響」(42問)「フジ社員(※本記事内ではA氏)の関与」(38問)と続いた。
この中には、記者会見の趣旨をはき違えたと言っていい質問者がいたのも事実だ。フジテレビ側の姿勢も、こうした質問者の批判に平身低頭に向き合うことで、世間の“ガス抜き”に徹するようにも映った。
記者会見は本来、取材に基づく情報などをもとに質疑を繰り返して真実に迫る場である。今回のような会見では、質問する側もときに厳しい姿勢で臨み、相手の認識の甘さを浮き彫りにすることも必要だ。
質問はあくまで論理的な組み立てが求められるが、質問よりも自らの考えなどを優先する内容が目立ちすぎた。結果的に、この会見に関心を寄せた視聴者や読者に、会見全体のレベルを低さが露呈し、さらなる「メディア不信」を呼び込んでしまったのではないだろうか。