2025年4月3日(木)

特集:食料危機の正体

2025年2月20日

減反廃止は
フェイクニュース

 減反廃止は安倍晋三内閣のフェイクニュースだった。14年、農政トライアングルは、国から都道府県などを通じて生産者まで通知してきたコメの「生産数量目標」を廃止する一方、減反政策のコアである補助金を大幅に拡充した。これを政権浮揚に使おうとした当時の安倍首相は「40年間誰もできなかった減反廃止を行う」とぶち上げた。面白いことに、第一次安倍政権の07年、全く同じ見直しをして撤回していたのだから、あなた自身が6年前にしていたことなのだ。

 また、「生産数量目標廃止」と言うが、現在も農水省は翌年産米の〝適正生産量〟を決定・公表している。これに基づき、都道府県、市町村段階で、JAや行政などが参加する協議会がコメや他の作物をどれだけ作るかを決定し、生産者に通知している。実態は何も変わっていない。

 減反の本質は国民負担による補助金で生産を減少させて米価を市場で決まる水準より高くすること。減反廃止が本当なら、米価は暴落する。農業界は蜂の巣をつついたような騒ぎになり、永田町はムシロバタで埋め尽くされていたはずだが、そんなことは起きなかった。

 減反は生産を抑える政策であるので、コメの単収を増加させる品種改良は、国や都道府県の研究者にとっては〝タブー〟になった。単収とは10アールあたりの収量であり、生産性に他ならない。1970年の減反開始時には日本と同じ水準だったカリフォルニア米の単収は、今では日本の1.6倍になった。情けないことに、60年頃は日本の半分しかなかった中国にも追い抜かれてしまっている。水田面積全てにカリフォルニア米ほどの単収のコメを作付けすれば、長期的には1700万~1900万トンのコメを生産することができる。単収が増やせない短期でも、900万トン程度のコメは生産できる。

 93年に起こった「平成のコメ騒動」は冷夏が原因とされているが、根本的な原因は減反だ。当時の潜在的な生産量1400万トンを減反で1000万トンに減らしていたうえ、不作により783万トンに落ち込んだ。しかし、減反せずに通常年に1400万トン生産して、400万トン輸出していれば、冷夏でも1000万トンの生産・消費は可能だった。今は水田の4割を減反して生産量を650万トン程度に抑えている。国内で消費が増えても輸出で調整すれば、「令和のコメ騒動」も起きなかった。生産を減らすことなく域内の過剰農産物を輸出に回した欧州連合(EU)ならコメ騒動は起きなかった。

 価格支持には金もかかる。減反は毎年3500億円の財政負担をして農家に生産を減少させ、消費者に高いコメを買わせるというものだ。これは、国が財政負担をする結果、国民が医療費の一部を負担するだけで治療を受けられる医療制度とは根本的に異なる。さらに備蓄と称して毎年20万トンの主食用のコメを買い入れ5年後はエサ米としてただ同然で処理している。これに国民は500億円も毎年負担している。これも真の狙いは、市場からコメを買い入れて価格を高くしようというものだ。

 減反をやめてコメを輸出できるようになれば、輸入が途絶する食料危機の際には輸出していたコメを食べればよい。輸出は無償の備蓄となる。無駄な政府備蓄は止められる。輸出が行われれば、国内価格は輸出価格よりも下がらない。輸出価格は最低支持価格の役目を果たす。


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