ただし、突然、世界トップクラスの半導体を製造できるのか、不安視する声も少なくない。だからこそ、今年4月にはパイロットプラントを立ち上げ、試作品を製造するとされているが、このような進捗のアナウンスを丁寧に行うことで、投資家を安心させる必要もある。また、量産を始める27年に向け、電力不足の懸念解消に向け、供給力確保の長期見通しを示していくことも欠かせない。
今後の課題は、最先端半導体をつくってどのような用途に使うのかということだ。そのためにもラピダスを牽引する「リードカスタマー」の存在が必須だ。
量産までには5兆円が必要となるなど、道のりは容易ではない。それでも、日本のデジタル赤字は、石油の輸入額を上回る勢いで増えている。日本発のデジタルサービスを生み出すと共に、日本が技術立国として世界と伍して戦っていくためには、2nmへの挑戦は避けては通れない。
トランプの返り咲き
米中摩擦は?
22年10月7日に米国政府から発表された規制政策によって、中国は米国などから先端半導体、14 nm以下の半導体などにかかわる製造装置や材料を輸入することができなくなった。最近の報道によれば、華為技術(ファーウェイ)が、ハイスペックの中国産「麒麟9020(6nm)」半導体を載せたスマートフォンを発売するなど、規制の影響を乗り越える動きがあるようにも見える。しかし、実態はコスト度外視で、歩留まりも上がらない中、苦肉の策をとっているのではないかと推察する。
それでも、中国は汎用半導体への投資を増やし、半導体の〝自給自足体制〟の強化を続けていくことは間違いない。米国が規制を強めれば強めるほど、技術力を高めてくるということは想定しておくべきだ。同様に、日本も大きな電力を制御する「パワー半導体」などは、日本の産業界にとっても欠かすことができない。最先端でなくても、自給自足体制を維持・強化することは、最先端半導体へチャレンジすることと同じく重要だ。
日本でも、半導体の次のコンピュータとなる量子コンピュータの開発が進み、さらにはNTTが「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」で、「電気から光へ」というゲームチェンジを起こそうとしている。日本の半導体業界の巻き返しに期待したい。(談)