2025年3月31日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年2月25日

 ウォールストリート・ジャーナル紙の2月5日付け解説記事が、ロシアとウクライナのいずれも戦闘の終結について話し合いを開始する意思があるとのシグナルを発しているとした上で、実際に交渉を開始する上での困難さなどを指摘している。要旨は次の通り。

(代表撮影/ロイター/アフロ・dvids)

 クレムリンのペスコフ報道官は2月5日、米露間では接触が行われており、かつ最近はさらに頻繁になっていると述べた。米露両国がウクライナでの戦闘を終わらせる計画について話し合っていることをモスクワが明らかにしたのはこれが初めてだ。

 両国は紛争終結のため相手と話し合う意思を強くしつつあるとのシグナルを発しており、ペスコフ氏の発言はこのような中で行われたものだ。

 トランプ氏はプーチン氏に対してますますいらだちを募らせているようで、トランプ氏とその補佐官らは制裁強化やロシアの主要輸出品である原油価格の下落でロシアに譲歩を迫る計画を打ち上げている。

 一方、プーチン大統領は公の場でトランプ氏を称賛し、1月には、2020年の米国大統領選は盗まれたものというトランプ氏の虚偽の主張に同意するとし、さらにトランプ氏が大統領職に就いていればウクライナ紛争は起きなかったかも知れないとまで述べた。

 しかし、プーチン大統領はトランプ氏の和平提案にはまったく無関心のようで、ウクライナ侵攻時に提示した要求から動いていない。その要求とは、ウクライナの州や主要都市の全てを併合し、軍隊を剥奪し、北大西洋条約機構(NATO)に決して加盟しないとの約束を強要することで、ウクライナを残りかす国家に変えるというものだった。

 協議が本格的に開始されれば、ロシアが戦闘で獲得したウクライナ領土をすべて保持するのか、あるいは制裁緩和を得られるのかなど、双方は多くの厄介な問題に直面することになるだろう。

 ウクライナの将来も同様に困難であり、西側諸国の安全保障体制の中でウクライナがどう位置づけられるのか、ロシアが再び攻撃を仕掛けないことを保証するためにどのような保証が与えられるのかという問題が残る。

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