2025年4月5日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年2月25日

3.「停戦合意」の具体的内容

 以上の障害を突破して交渉が開始された場合、あり得るべき目標の一つとして「停戦」を目指す場合、問題となる主要論点には少なくとも以下が含まれると思われる。

①露占領地域の法的性格

 現在の軍事的対峙の状態においてとにかく戦闘を一旦停止することで合意を達成しようとする場合、ロシアは事実上占拠している地域をロシア領として法的に認めさせようとするだろう。ウクライナと西側諸国は、政治的にも法的にもこれを認めることはできない。この点が第一の難関となる。

②停戦ラインの確定

 第二の難関は停戦ラインをどこに引くかである。ロシアは4州を併合したとしながら、実際にはその全てを実効的に支配していない。ウクライナとしては両軍が現在対峙する前線を停戦ラインとすることを要求し、かつそれが合理的であるが、この点でもロシアは4州の行政区画の限界線を主張して容易に応じようとしないであろう。

③停戦の監視

 第三に、そして最も難しいのが停戦ラインの維持である。欧州では英仏、ポーランド、バルト三国などが中心となってNATOの有志国で停戦監視部隊を派遣することが検討されているようであるが、当該部隊が真に停戦維持の役割を果たすためには、仮にロシア軍が攻めてきた場合にこれと戦う覚悟ができていなければならない。これに対し、単に監視のみで戦闘行為を行う権限が与えられない場合には、ミンスク合意の停戦監視を行っていた欧州安全保障協力機構(OSCE)と基本的に同じとなるが、それがどのような結果をもたらしたかは言うまでもない。

④ウクライナの中立ないしNATO非加盟問題

 ロシアが主張するウクライナの「中立」はNATO非加盟と同義ではない。ロシアの言う中立とはウクライナの「非軍事化」、すなわちウクライナが保有し得る軍事力の上限を定めること、及びその上限の決定にロシアが参画することを含んでいる。これはウクライナをロシアの支配下に置くこととほぼ同義であり、ウクライナの安全保障には程遠いのみならず、地域レベルの安定をも脅かすことにほかならない。

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