万博を「起点」に終わらせないために
万博は“祭り”ではなく、“未来都市の縮図”である。すでに開幕した万博でいかに儲けるかを走りながら考えていただきたい。
同時に、「人と人のつながり」を紡ぎ続ける仕組みとして、インバウンド客を一過性のゲストとするのではなく、“地域のファン”として共に関係を育む存在と捉えてほしい。そのために、行政、事業者、市民が共通の価値観を持ち、多様なタッチポイントを提供し続けることが、大阪万博が真に未来を切り開くためのカギとなる。
こうしたビッグイベントでは大きなPDCAと小さなPDCAの両サイクルを回すことが重要である。本稿では主に現在進行形の対応を記述しているが、同時に大きなPDCAも意識する必要がある。
日本は体系的なイベントマネジメントの専門家教育が弱く、特定の会社に俗人的・暗黙知的にイベントマネジメントの知見が集約される傾向がある。この課題をどうするかを頭の片隅に置きながら、”イマの万博を推進”することでイベントを活用した持続的な発展が期待できるだろう。
そして終了後はやりっぱなしにせず、それぞれの立場で定期的にレビューをしてゆくことである。直後に何がよかったか、何が改善すべきかを準備段階から、そして1年後、3年度等にもそのプラス・マイナスの効果測定をして、レビューを公表することにより、大阪市も日本もPDCAを回すようにすることで、より効果的・効率的にイベントマネジメントができるようになり、新たな価値の創造につながるだろう。
