他方インドは、いかにも好戦的な国で、核開発にのめり込んでいて、核不拡散には無関心であるかのように誤解されているようだが、それは事実ではない。NPT非加盟ながらも核拡散防止にはどの国にもまして(勿論中国とは比較にならぬほど)誠実に協力している。このことは、2008年に「原子力供給国グループ」(NSG)が米印原子力協定を全会一致承認したことで証明済みと考えられる。後は、目下交渉中の日印原子力協定で、インドの核不拡散義務と2008年の「行動と公約」を協定上適切な形で再確認しておくことで十分なはずだ。
日本のアジア外交上きわめて重要な戦略的パートナーであるインドとの協定交渉の早期妥結は正しい方向である。これ以上の逡巡は無益であるのみならず有害であり、一日も早い交渉妥結を決断すべきだ。
問題点(6)
トルコ、UAEとの原子力協定の承認問題
今国会に提出されているトルコ、UAEとの原子力協定案も、我が方の外交当局者が苦心してまとめたものであり、妥当な内容であるので、できるだけ早急に国会承認を得て発効させるべきである。
なお、これら新興国に対し将来的に再処理・濃縮の権利を認めるべきかどうかが問題となっており、とくにトルコとの協定案に『再処理禁止』条項は入っていないことを問題視する意見が一部の国会議員の間にあるようだが、これについては後日掲載予定の新たな記事を参照されたい。
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