2025年6月16日(月)

WEDGE REPORT

2025年5月18日

 かつて「買い物」といえば、スーパーやコンビニに足を運び、自ら商品を手に取る行為だった。だが、インドの大都市ではその常識が大きく変わりつつある。

 アプリを数回タップするだけで、必要な日用品や食料品がわずか10分で手元に届く。そんな生活がごく当たり前になっているのだ。

様々なものをバイクで届けてくれる(筆者撮影)

 この「クイックコマース」と呼ばれる新たな小売形態は、インドの都市生活に根づく。そうした「必要なものを必要な時にすぐ提供する」事業はサービスの分野にも広がっており、生活そのものを変えつつある社会現象でもある。

忘れられない「食事中に注文したら、食事中に届いた」体験

 筆者自身、毎日のようにクイックコマースを利用しており、トイレットペーパーやゴミ袋、野菜や果物などの日用品や生鮮食品を気軽に注文している。すでに生活の中に自然に組み込まれているが、初めて利用したときの驚きは今でもよく覚えている。

 ある日の夕食時、料理をしている最中に調味料が切れていることに気づいた。通常であれば諦めるか、別のもので代用するところだが、思い切ってSwiggyアプリの「Instamart(インスタマート)」を使ってみることにした。数タップで注文を終えると、わずか10分足らずで注文した調味料が玄関先に届けられたのだ。

 まさに「食事中に注文したら、食事中に届いた」という体験に、筆者は軽い衝撃を受けた。手間も時間もかけずに、必要なものが即座に手に入る。

筆者が先日クイックコマースの「Blinkit」で注文した洗剤、玉ねぎ、水など(筆者撮影)

 あまりにも便利なこの体験がきっかけで、クイックコマースは筆者にとってなくてはならないものとなった。


新着記事

»もっと見る