会社全体が黒字の時と赤字の時では、損失に対する許容度が違うだろう。だから、なぜ黒字なのにリストラするのかということになる。しかし、雇うことが損失になっているなら、解雇リストをしたいのは当然だ。
さらに、会社の中での事業部門ごとの赤字もある。事業部ごとに赤字であるか黒字であるかで、事業部ごとの赤字許容度も異なるだろう。
それでも、事業ごとのシナジーもある。Aの事業をすることでBの事業が発展できたのかもしれない。その関係は今も続いているかもしれない。共通費用をどこに付けるかで部門ごとの利益も異なるだろう。
話がこんがらがってくるので、解雇リストラができず、どうにもならなくなって初めて解雇をするというのがこれまでの日本の会社だった。だから、赤字になって初めて解雇するということになっていた。日産が良い例だろう。
黒字リストラは良いことかもしれない
最後になってバタバタするより、黒字でもリストラするのは良いことかもしれない。日本全体の景気が良ければ、労働者も新たな職を見つけやすいだろうし、希望退職のための割増退職金の原資となる遊休不動産や金融資産も高く売却できるだろう。
限界生産物の分かりにくい人々はどうしたら良いのだろうか。とりあえず減らして、どれだけ困るかを見るという手もあるだろう。
研究開発部門は分からないだろう。もう止めろと言われた研究開発や新製品開発が蘇って莫大な収益をもたらすこともある。だから、NHKのドキュメンタリー番組『プロジェクトX』ができるのだ。
ただし、液晶パネル、蓄電池、太陽光発電、発光ダイオードなど、日本がほとんど初めて商品化したものがいつの間にか中国の大規模生産に勝てなくなっている。これは、会社全体が儲からなくなって、当面赤字だから止めろとなって開発投資を止めたらかもしれない。
成長分野に資本を投入するにも儲からない部門のリストラは必要だろう。また、話は逸れるが、巨額の投資を必要とする半導体も含むこれらの製品の生産のためには、資本市場からのマネーの供給も必要だったろう。
会社としてだらだらと雇用を抱え続けているのも損失だが、雇用者にとってだらだらと雇われているのも損失かもしれない。
