2025年6月17日(火)

World Energy Watch

2025年6月2日

 国立シンガポール大学が開催したアジアの環境・エネルギー問題に関するシンポジウムに招待された。シンポジウムの中心になっていたシンガポール大学の先生の尽力でシンポジウム参加者の共著も出版された。

 シンガポール大学の先生にお世話になったので、日本で開催されるシンポジウムに招待したいと思いメールを送ったが、戻ってきた。転出先の大学を知りたいと思い、シンガポール大学の同僚の先生、事務局にコンタクトしたが、なしのつぶてだ。

 どうしたのだろうと思い少し調べたところ、連絡がつかない事情が分かった。シンガポールから放逐され入国禁止処分にされていたのだ。理由は中国のスパイ容疑だった。

 先生は、大学からサバティカル(大学教員が他大学で研究を行う研修制度)に基づき米国の大学に行ったが、そこから中国に情報を流していたことが米国当局に把握された。今は、中国の大学教授になっているようだ。

 おそらくシンガポール時代からスパイ活動をしていたが、見つからなかったのだろう。しかし、米国では発覚したということだ。米国の情報監視能力が高い証拠だが、アジア一とされるシンガポール大学の教員をスパイに仕立てた中国の諜報活動の広がりには驚かされる。

再エネを拡大させているスペイン。そこには停電リスクも潜む(AlvaroRT/gettyimages)

 スパイだけでなくサイバー攻撃も利用される時代になり、情報の監視と防御はますます重要になっている。特に、中国製の再生可能エネルギー(再エネ)機器が世界市場の覇権を握る時代には、再エネ機器を利用したサイバー攻撃で電力供給の息の根を止められる可能性がある。そうなれば、社会活動は麻痺する。

 4月下旬にスペインとポルトガルで発生した大停電の原因としてサイバー攻撃の可能性もあげられた。電気がなければ何もできないスマホ時代に停電すれば大変だ。


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