2025年7月16日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年6月20日

 ウォールストリート・ジャーナル紙は5月23日付けで、米国とイランとの間の核協議に関し、同日に行われた第五回協議を踏まえた状況についての解説記事を掲載している。概要は次の通り。

(Win McNamee /Barks_japan/gettyimages)

 米国とイランは、新たな核合意に向けて交渉を行っているが、交渉に詳しい筋によれば、両者は、まず、新たな合意の要素となる「変数」を設定しようとしており、詳細についての交渉は後で行うこととしている模様である。

 そのような形で、合意への進捗を導く枠組みをまず設定しようとすることについては、米国議会とイスラエルから、イランが最終合意までの時間を利用してさらに核活動を進める恐れがあるとの批判が出そうである。2015年の核合意の際には、最終合意に至るまで18カ月に及ぶ交渉が必要であった。イランの核計画についての交渉において、まず共通理解を形にするというやり方は、15年の核合意に先立って13年の中間的合意が結ばれたことにならうものである。

 そうした枠組み合意を設定する際の懸案は、イランがウラン濃縮を行うことを認められるかである。米国はイランがウラン濃縮を続けることは認められないとの立場を取っている。米国はイランが核兵器に用いられる核分裂性物質を生産する能力を根絶したいと望んでいる。

 一方、イランは、ウラン濃縮を放棄することはないと反駁している。西側関係者は、イランは核兵器を製造するオプションを残しておきたいのだと見ている。

 トランプ政権の高位の関係者は、協議は建設的であったと述べた。核協議でイラン側の代表を務めるアラグチ外相は、これまでの会合の中で「最も専門的」な会合であったと述べた。

 イランの政府関係者は、米国との核協議が開始されて以来、新たな合意に到達するための段階として、枠組み合意を設定することについて示唆してきた。枠組み合意には、イランが民生用原子力計画を行う権利、イランが核爆弾を目指さないことを確保するための厳格な査察の制度が規定されることが考えられる。


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