警察庁は、既に改正されていた道交法の運用として、自転車の交通違反に対して反則金の納付を通告する際の反則金額を公表した。これは、いわゆる「青切符」による取締りであり、2人乗りは3000円、信号無視6000円、逆走・歩道通行6000円、そして携帯電話の使用(ながら運転)が1万2000円といったものとなっている。
この反則金政策に関するパブリックコメントでは、意見は真っ二つに分裂している。つまり反則金が「いくら何でも高すぎる」という声と、この反則金では「安すぎて(事故の)抑止につながらない」といった意見がほぼ同数あったというのだ。これは、自転車の利用者と、自転車を利用しない歩行者の視点が真っ向から対立しているだけと考えられる。
しかしながら、今回の決定については、様々な点から見て問題がある。
なぜ今、賛否が飛び交うのか
まず疑問なのは、決定のプロセスだ。これは、今回の道交法に限った話ではなく、後期高齢者の健康保険にしても、マイナンバーにしてもそうだが、法案が可決され、いよいよ施行となって大騒ぎになるというのは、本当にやめてもらいたい。日本は民主主義国であり、主権者が選んだ代議員で構成される国会が立法権を担っている。
ということは、いかなる法律についても賛否両論の議論が、それこそ実務的なレベルまで「可決される前の議論」の中で、有権者の意見が議員を通じて国会で議論されるべきだ。今回の問題がいい例であり、それこそ自転車ユーザーと歩行者で真っ向から利害が衝突する事例である。その中で、多角的な意見を紹介して、徹底的に意見を交換して合意形成をする場は、国権の最高機関たる国会であるべきだ。
各政党、各議員は自分たちの支持者の中に自転車ユーザー側と、歩行者側がいるわけで、本音としては双方の票が欲しいので、ダンマリを決め込んだのだろう。そのうえで党議拘束に従って粛々と決議したということかもしれない。だが、そうであってはいけないのだ。イデオロギー対立になれば大騒ぎするが、こうした実務的な問題では有権者の困惑を放置して知らんぷりをするようでは、民主主義は成立しない。
