NHKスペシャル『命を診る 心を診る~小児集中治療室の日々~』(7月13日)は、東京・世田谷の「国立成育医療研究センター」の小児集中治療室(PICU)の現場を半年にわたって取材した、ドキュメンタリーの力作である。
PICU—Pediatric Intensive Care Unitは、0歳から15歳までの難病を抱えた子どもたちの治療にあたる。大人に比べてより繊細なケアが求められる領域を担う。「国立成育医療研究センター」は、日本におけるその先端機関である。
世界的には、欧米が1960年代から施設の展開が進めた。日本はようやく2000年代に入ってからである。
全国に現在38カ所がある。しかし、首都圏と関西圏に集中している。PICUの治療にかかわる総合医師や外科、緩和ケアの専門医らは計約200人。必要数の半分に過ぎない。
難病の小児患者をPICUに搬送できる、医療用のジェット機は2機に過ぎない。ドクターカー購入を寄付に頼ったり、運営費が赤字に陥ったりしている。
医師たちのチームに加わっているのは、看護師ばかりではない。「チャイルド・ライフ・スペシャリスト」と呼ばれる患者の子どもの不安を和らげるともに家族に寄り添う専門スタッフや、家族の相談に応じるソーシャルワーカーも重要な役割を果たしている。
