図1は暗渠の模式図である。林道が沢を跨ぐ箇所に設けられ、車両は濡れることなく通過できる。もちろん降雨時でも同様である。
ところが豪雨で暗渠に土砂や枝条が流れ込んで詰まると、水が路面に溢れ出し、路面を流下して災害を起こす。
それならば、図2のように、暗渠の部分が低くなるように両側から路面に勾配をつけるのだ。こうすれば、仮に暗渠が詰まって、路上に沢水が溢れたとしてもそのまま路面を横断していく。
軽微な被害で林道を守る
実はこのように沢水を横断させる工法があって、洗越工(あらいごしこう)と呼んでいる(写真8)。もちろん溢水時には車両は通れないので、豪雨が予想されるときは、洗越から先へは入林できない。
写真9は豪雨後の洗越であるが、増水した沢水が運んできた土砂や流木が溜まる。しかし、これを取り除けばすぐに通行可能になるし、路面が傷んでいればこの部分だけ補修すればいいのだ。このように軽微な被害は容認して、林道全線を守るという柔軟な発想が必要ではないか。
写真10がそれである。こんな立派なものばかり造るわけにはいかないが、暗渠部分に向かって両側から路面を下げるだけで、相当の効果が期待できるだろう。
