2025年12月5日(金)

プーチンのロシア

2025年8月13日

鉄道と飛行機の直行便

 ロシア・北朝鮮関係で、最近話題となったのが、鉄道および飛行機の直行便が復活したことである。

 まず鉄道に関して言うと、ロシアの首都モスクワと、北朝鮮の首都平壌との間には、かつて鉄道の直通列車が走っていた。しかし、その運行はコロナ禍により20年2月から停止されていた。

 その直通列車が、今年6月に復活したのである。モスクワと平壌を8日間で結ぶ直通列車は、6月17日に再開された。ダイヤは、平壌発は毎月3日と17日に出発、モスクワ発は毎月12日と26日に出発となっている。乗客は北朝鮮鉄道のコンパートメント車両で輸送されるが、動画を見るとロシア領ではロシア鉄道の機関車が牽引している。

 ロシア鉄道によると、平壌-モスクワ間は世界最長クラスの直通鉄道路線である。両首都間の距離は1万キロメートル(km)以上あり、上述のとおり所要日数は8日間となる。列車はハサン、ウスリースク、ハバロフスク、チタ、イルクーツク、クラスノヤルスク、ノボシビルスク、オムスク、エカテリンブルグ、キーロフ、コストロマなどの駅に停車する。

 なお、ロシア極東の主要都市ハバロフスクと、平壌とを結ぶ直通便もあわせて再開され、6月19日からに運行が始まった。こちらの便は月1回運行され、毎月の19日に平壌を発って21日にハバロフスク着、折り返しは21日にハバロフスクを発って23日に平壌着となる。

 次に、航空便について見てみよう。7月27日、モスクワ-平壌間の直行定期航空便が約30年振りに再開された。運航するのはロシアのNordwind航空で、使用機材はボーイング777型機。当面は月1便のペースで運航され、今後の需要次第で増便も検討されるという。

 ロシアの航空当局は最大で週2便の運航許可を出している。片道の所要時間は約8時間で、初便のチケットは約4万4700ルーブル(約560ドル)だったということだ。

誰を運ぶのか?

 それにしても、気になるのは、鉄道にしても飛行機にしても、どのような利用客層になるかである。情報を総合すると、鉄道に関しては、北朝鮮に駐在するロシアの外交官とその家族、ロシア人ビジネスパーソンや技術要員、北朝鮮からロシアの大学に派遣される留学生や研修生、ロシアで働く北朝鮮労働者などが、主な乗客層と想定されているようである。航空便に関しても、主に両国政府関係者や経済・軍事分野の担当者、北朝鮮からの労働者の派遣などの需要を想定しているようだ。

 ここで、ロシアで働く北朝鮮労働者について触れておくと、現時点では多くても3万人程度ではないかとみられ、300万人以上とされる中央アジア系の労働移民(彼らにはロシア語ができるというアドバンテージがある)に比べれば、まだまだ少数派である。北朝鮮労働者は、主に建設・農林業・製造業などに従事し、地域的には極東やシベリアに派遣される場合が多いという。一部は、ウクライナの越境攻撃を受けたクルスク州や、ウクライナのロシア占領地で、復旧工事や地雷除去作業に当たっているとも言われている。

 鉄道と飛行機の話に戻ると、普通であれば観光需要が重きをなすところだろう。しかし、ことロシア・北朝鮮間の鉄道および飛行機においては、それは当てはまらないようだ。


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