2025年12月5日(金)

プーチンのロシア

2025年7月29日

 ロシア海軍副司令官のミハイル・グドコフ少将(42歳)が7月初旬、ロシア西部クルスク州の前線でウクライナ軍の攻撃を受けて死亡した。グドコフ氏はウクライナ侵攻開始当初、ブチャやイルピンなど民間人の大量虐殺が明らかになった戦線などで功績をあげ、〝英雄〟としてプーチン大統領から繰り返し軍事勲章を授与された人物だ。攻撃ではグドコフ氏だけでなく、ほかの高官や兵士ら約20人が死亡した。

ウクライナ戦争の最前線で死亡したロシア海軍副司令官のミハイル・グドコフ少将(ロイター/アフロ)

 ロシア軍の最高幹部がなぜ最前線に投入されて、ウクライナ軍の「高機動砲兵ロケットシステム(HIMARS・ハイマース)」攻撃の餌食になったのか。浮かび上がるのは、ロシア軍が「完全奪還」を表明したはずのクルスクで依然として激しい戦闘が続いている実態と、その防衛にロシアが手こずり続けている実情だ。クルスク州をめぐっては北朝鮮軍兵士らも大量動員されているが、ロシア軍はさらなる応援の増員を頼まなくてはならない状況に陥っている。

 クルスクの「完全奪還」が崩れれば、プーチン政権のメンツはつぶされる。ロシア軍はすでに100万人規模の死傷者を出し戦力の低迷が著しいが、政権のメンツを守るために最前線に立った〝英雄〟があっけない最期を遂げた可能性がある。

戦闘の人間

 「彼は戦闘の人間だった。彼は副司令官という立場になろうとも、海軍兵士らが身を置く場に出向くことを決して止めなかった」

 ロシア極東のオレグ・コジェミャコ沿海地方知事は7月初旬、グドコフ氏を追悼する一文をSNSに投稿し、その人物像をこう表現した。

 グドコフ氏は7月2日、ウクライナ国境から約30キロの距離にあるクルスク州コレネヴォの司令部にいた際にハイマースの攻撃を受けて死亡した。攻撃によりグドコフ氏ら約20人の兵士らが一度に命を失ったという。死者には兵士だけでなく、ほかの高官も含まれていた。


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