今年のADEXの特徴を一言で表すと「AIでの完全武装」となる。韓国防衛大手のハンファが「AI Defense for Tomorrow」をテーマにグループの統合ブースを設けたほか、LIGネクスワンの衛星システムとAIとの融合などが注目を集めたようだ。
カナダの次期潜水艦を狙う韓国の国産潜水艦
23日のヘッドラインは、韓国史上最大の国産潜水艦「蔣英実(チャン・ヨンシル)」が進水したことを伝えたもの。蔣英実とは李氏朝鮮時代の科学者で、韓国では天球儀や日時計を作ったことで知られる。21日にハンファオーシャン巨済事業所(慶尚南道巨済市)で進水式が行われた。
本艦は単なる新型潜水艦ではなく、張保皐(チャン・ボゴ)Ⅲバッチ Ⅱの「先導艦」という位置付けとされる。韓国の潜水艦を見る上で紛らわしいのが艦級の呼称だ。世界の海軍では一般的に1番艦をネームシップとして、その艦名が艦級となる。韓国海軍にたとえると、張保皐級、孫元一級、島山安昌浩級という具合だ。
しかし、韓国では建艦計画によって艦級が区分されている。国産潜水艦第1段計画であるKSS-1が張保皐級、KSS-2が孫元一級、KSS-3が島山安昌浩級に該当するのだが、韓国では国産潜水艦計画で建造された潜水艦ということで全て「張保皐級」となる。ゆえに張保皐Ⅲとは、島山安昌浩級のことを指す。
だが、これで呼称問題が解決しわけではない。日本では聞きなれない「バッチⅡ」という接尾語が存在する。韓国の国産潜水艦建造計画(KSS)は、1992年にドイツHDW造船所で浸水した209型(1番艦の張保皐)を輸入したことに始まる。以降、同級は8隻が韓国で建造された。その際、3隻を一つのバッチ(束)として発注したことから、その調達計画が現在まで踏襲されている。
つまり、張保皐Ⅲバッチ Ⅱとは、島山安昌浩級の4番艦ということになる。4番艦を「先導艦」と呼ぶことに違和感があるが、これには輸出計画が関連している。
カナダ政府は今年8月、ハンファオーシャン・HD現代重工業コンソーシアムとドイツのティッセンクルップマリンシステムズ(tkMS)を次期潜水艦計画の適確候補に選定した。30年間の保守・整備費も含めた事業予算は約60兆ウォンと言われる。31日に韓国・慶州で開かられるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に参加するカナダのマーク・カーニー首相は、訪韓中に蔣英実を視察する計画だ。
